ガジェット評論家兼コラムニストの二階堂仁です。今回も多く寄せられてる質問にお答えしていきます。
この記事を読んでいる方は、ゲオで中古のiPhoneやApple製品を買うのは本当に大丈夫なのか、SNSで見かける「やめておけ」という声の真相が気になっていると思います。私も過去にゲオで中古iPhoneを購入し、手痛い失敗を経験したので、その気になる気持ちはよくわかります。

引用 : X
最新のiPhoneは魅力的ですが、価格も年々上昇しており、気軽に手を出せる金額ではなくなりました。そこで中古品に目が向くのは自然な流れです。しかし、どこで買うかによって、その後の満足度は天と地ほど変わってきます。
この記事を読み終える頃には、ゲオで中古Apple製品を購入する際に潜むリスクと、もっと賢く、お得に、そして安心して手に入れる方法についての疑問が解決しているはずです。
記事のポイント
- ゲオの中古品に潜む品質という名の地雷
- 短期保証とバッテリーは対象外という巧妙な罠
- 中古より安く保証も手厚いApple公式の選択肢
- ゲオが本当にターゲットにしている意外な顧客層

ゲオで中古Apple製品の購入を推奨しない8つの決定的理由
最新のiPhone 17の噂が聞こえ始め、スマートフォンの買い替えを検討する方が増える時期ですね。しかし、新品の価格を見て躊躇し、大手中古販売店であるゲオに足を運ぶ方も少なくないでしょう。
しかし、結論から申し上げます。情報収集をしっかりと行えるあなたのような方には、ゲオでの中古Apple製品の購入は推奨しません。なぜなら、一見お得に見えるその選択には、見過ごせない多くのリスクとデメリットが潜んでいるからです。私自身の苦い経験と、多くのユーザーからの情報を基に、その理由を徹底的に解説していきます。

引用 : Apple HP
理由①:品質にばらつきが多く「ゴミ」を掴む可能性
私がゲオでの購入を強く推奨しない最大の理由が、この「品質」の問題です。中古品である以上、ある程度の個体差は当然ですが、ゲオの製品は特にその振れ幅が大きいと感じています。
バッテリーが既に寿命末期
私自身、過去にゲオで4台のiPhoneを購入した経験がありますが、そのうち実に3台が「ハズレ」でした。特に顕著だったのがバッテリーの劣化です。使い始めて数週間で、バッテリー残量が40%あったはずなのに突然電源が落ちる、満充電したはずが半日も持たない、といった症状に見舞われました。
中古iPhoneの査定基準において、バッテリーの最大容量は重要な指標ですが、ゲオの店頭では詳細な最大容量が表示されていないケースも多く、店員さんに尋ねても「動作確認済みです」という回答に留まることも少なくありません。80%を切ると著しくパフォーマンスが低下すると言われるバッテリーですが、平気で80%前半、時には70%台の個体が「正常動作品」として販売されているのが実情です。
見えない内部の劣化と液晶の問題
店頭で確認できるのは外装の傷程度です。しかし、本当に問題なのは内部の劣化。特に液晶ディスプレイは、長時間使用しないとわからない「液晶ムラ」や「焼き付き」といった症状を抱えていることがあります。私が購入したiPhone 6s Plusは、白い画面を表示すると四隅がうっすらと黄色く変色している個体でした。購入時の短い時間での動作確認では到底気づけません。
さらに、前の所有者の使用環境も製品の状態を大きく左右します。私が手にしたiPhone 7は、充電ポートの奥からタバコのヤニの匂いがしました。非喫煙者の私にとっては非常に不快な経験でした。このように、外見だけでは判断できない問題が潜んでいるのが、ゲオの中古品の怖いところです。
理由②:短期保証と「返品できない」巧妙な罠
「何かあっても保証があるから大丈夫」と考えているなら、それは大きな間違いです。ゲオの保証制度には、消費者が不利になる巧妙な「罠」が仕掛けられています。
わずか1ヶ月の保証期間
ゲオの中古スマートフォン・タブレットの保証期間は、原則として購入からわずか1ヶ月間です。前述したバッテリーの劣化や液晶ムラといった問題は、毎日使い込んでいく中で徐々に気づくことがほとんど。多くの場合、異変を感じ始める頃には、すでに1ヶ月の保証期間が過ぎてしまっているのです。
最大の落とし穴「バッテリーは保証対象外」
そして、これが最も重要な点ですが、ゲオの保証ではバッテリーの劣化は対象外と明記されています。つまり、たとえ購入翌日にバッテリーが全く充電できなくなったとしても、それは「経年劣化」として扱われ、返品も交換もしてもらえないのです。中古iPhoneで最も懸念すべきバッテリーの問題が保証されないのであれば、その保証にどれほどの価値があるでしょうか。
返品のハードルの高さ
仮にバッテリー以外の不具合(例えば、ボタンが反応しにくいなど)が保証期間内に見つかったとしても、返品・交換のハードルは高いのが現実です。店舗に持ち込んでも、「店員の前で症状を再現できなければ対応できない」と言われるケースがほとんど。常に発生するわけではない不具合の場合、これを証明するのは極めて困難です。
理由③:価格が割高!Apple公式の方が安いという逆転現象
「中古だから安い」という常識は、ゲオのApple製品には当てはまりません。驚くべきことに、ゲオで販売されている中古品よりも、Appleが公式に販売している「認定整備済み製品」の方が安く、しかも品質も保証も圧倒的に上という価格の逆転現象が起きているのです。
実際に、ある日の価格を比較してみましょう。
製品モデル | ゲオ中古価格(税込) | Apple認定整備済み製品価格(税込) | 差額 | 備考 |
---|---|---|---|---|
iPhone 15 Plus (128GB) | 約127,000円 | 124,800円 (新品) | +2,200円 | ゲオは中古なのにAppleの新品より高い |
Apple Watch Ultra 2 | 約104,280円 | 108,800円 | -4,520円 | ほぼ同価格だが品質と保証に天と地の差 |
11インチiPad Pro (M2, 128GB) | 約115,280円 | 108,800円 | +6,480円 | ゲオの中古が6,000円以上高い |
M2 MacBook Air (256GB) | 約114,180円 | 113,800円 | +380円 | ほぼ同価格。選ぶ理由は皆無 |
AirPods Pro (第2世代) | 約32,000円 | 39,800円 (新品) | -7,800円 | 新品との価格差を考えると中古は割高 |
※価格は調査時点のものであり変動します。
この表を見れば一目瞭然です。多くの製品で価格差はほとんどなく、iPad Proに至っては中古品であるゲオの方が6,000円以上も高いのです。後述しますが、Apple認定整備済み製品はバッテリーや外装が新品に交換され、1年間のメーカー保証まで付いてきます。全てが中古部品で構成され、保証も1ヶ月(バッテリー対象外)のゲオ製品を、同等かそれ以上の価格で選ぶ理由がどこにあるでしょうか。
理由④:赤ロムのリスクがゼロではない
「赤ロム」とは、前の所有者が端末代金の分割払いを滞納したり、盗難品であったりした場合に、通信キャリアによってネットワーク利用制限がかけられた端末のことです。赤ロムになると、Wi-Fiは使えてもSIMカードを挿しての通話やデータ通信が一切できなくなります。
ゲオのような大手であれば買い取り時にチェックしているためリスクは低いとされていますが、絶対にないとは言い切れません。万が一購入後に赤ロムになってしまった場合、ゲオの保証で対応してもらえるかは交渉次第な部分もあり、確実ではありません。後述する専門店では「赤ロム永久保証」を掲げているところも多く、安心感の面で劣ります。
理由⑤:アクティベーションロックの危険性
アクティベーションロックは、iPhoneの盗難・紛失時に第三者に不正利用されるのを防ぐための強力なセキュリティ機能です。これが解除されていない中古品を購入してしまうと、初期設定が完了できず、ただの文鎮と化してしまいます。
これも買い取り時のチェック漏れの可能性はゼロではありません。特にフリマアプリなどで頻発するトラブルですが、中古品である以上、常にこのリスクは念頭に置いておくべきです。
理由⑥:SIMロックの有無を確認する手間
最近のモデルは原則SIMフリーで販売されていますが、中古市場には特定のキャリアでしか使えない「SIMロック」がかかった旧モデルがまだまだ流通しています。自分の利用したい通信キャリアのSIMカードが使えない端末を誤って購入してしまうと、SIMロック解除の手続きに手間や費用がかかる場合があります。ゲオの店頭ではSIMフリー端末とSIMロック端末が混在して販売されているため、購入時には細心の注意が必要です。
理由⑦:付属品が揃っていないケースが多い
ゲオで販売されている中古品の多くは、本体のみです。充電器やケーブル、イヤホン、外箱といった付属品は基本的に付いてきません。これらを別途Apple純正品で揃えようとすると、数千円の追加出費になります。トータルの金額で考えると、付属品完備の他の販売店の製品や、新品と大差なくなる可能性も十分にあります。
理由⑧:店員の専門知識にばらつきがある
ゲオはゲームやDVDレンタルが主力の総合リユースショップであり、Apple製品の専門店ではありません。そのため、店員さんの知識レベルには大きなばらつきがあります。製品の詳細な仕様や、特定のモデルに起こりがちな不具合について質問しても、的確な回答が得られない可能性があります。「とりあえず安くスマホが欲しい」という層には十分かもしれませんが、製品について深く理解して選びたい方にとっては、物足りなさを感じるでしょう。
ではどこで買うべき?ゲオより賢い中古Apple製品の購入先
ゲオのリスクを解説してきましたが、「では、一体どこで買えばいいのか?」という疑問が湧いてきますよね。ご安心ください。もっと安全で、賢く、満足度の高い購入方法は確かに存在します。ここでは、私が自信を持って推奨する購入先を、ランキング形式でご紹介します。

引用 : Apple HP
第1位:Apple認定整備済み製品 – 最も賢い選択肢
もしあなたが探しているモデルの在庫があれば、迷わずこれを選ぶべきです。Apple認定整備済み製品は、単なる中古品とは全く異なる、新品に限りなく近い品質を誇る製品です。
Apple認定整備済み製品とは?
Apple Storeで返品された製品や、初期不良で回収された製品などを、Apple自身が責任を持って修理・点検し、新品同様の状態にして再販売するものです。
圧倒的なメリット
- 1年間のメーカー保証:新品のApple製品と全く同じ、1年間の保証が付帯します。万が一の故障時も、Apple Storeや正規サービスプロバイダで無償修理が受けられます。ゲオの1ヶ月保証とは比較になりません。
- 新品のバッテリーと外装:全てのiPhone、iPad、Apple Watchの認定整備済み製品は、バッテリーと外装(筐体)が新品に交換されています。つまり、消耗を心配する必要がなく、見た目もピカピカの新品同様です。
- 徹底した品質チェック:Appleの厳格な基準に基づき、全ての機能がテストされ、クリーニングされています。OSも最新のものがインストール済みです。
- 付属品も完備:新品と同様に、ケーブルなどの標準付属品がすべて同梱されています。
- 驚きの価格:これだけのメリットがありながら、価格は新品の約15%オフ。前述の通り、ゲオの中古品よりも安いケースが多々あります。
デメリットは?
唯一のデメリットは、在庫が流動的であることです。人気のモデルはすぐになくなってしまうため、Apple公式サイトの認定整備済み製品ページをこまめにチェックする必要があります。また、最新モデルがすぐに登場することは稀で、型落ちモデルが中心となります。
第2位:イオシスやジャンパラ – 専門店の信頼感
もしApple認定整備済み製品に在庫がない場合、次におすすめなのが「イオシス」や「じゃんぱら」といった、ガジェットを専門に扱う中古販売店です。
専門店ならではの強み
- 豊富な在庫と明確なランク分け:ゲオとは比較にならないほどの豊富な在庫を誇ります。また、製品の状態が「Aランク(未使用品)」「Bランク(美品)」「Cランク(使用感あり)」など細かく分類されており、状態と価格のバランスを見て選びやすいのが特徴です。査定基準も厳しく、Bランクでも非常に綺麗な個体が多いと評判です。
- 手厚い保証制度:イオシスやじゃんぱらでは、通常でも3ヶ月の保証が付きます。さらに特筆すべきは「赤ロム永久保証」。万が一購入した端末が赤ロムになった場合、期間を問わず交換や返金に応じてくれます。この安心感はゲオにはありません。
- 専門知識豊富なスタッフ:ガジェット好きの専門スタッフが多いため、製品に関する的確なアドバイスが期待できます。店舗で実機を触りながら、気になる点を詳しく質問できるのも大きなメリットです。
- 買取サービスもお得:売る時にも強みを発揮します。特にじゃんぱらは、会員向けに火曜日の買取額が5%アップするサービスがあり、買い替えのサイクルをお得に回すことができます。
第3位:フリマアプリ(メルカリなど)- ハイリスク・ハイリターンの上級者向け
メルカリやラクマといったフリマアプリは、個人間取引のため、思わぬ掘り出し物が見つかる可能性があります。しかし、それはトラブルと隣り合わせの危険な賭けでもあります。
フリマアプリの危険性
- 保証は一切なし:購入後に不具合が見つかっても、基本的には自己責任です。
- 赤ロム・アクティベーションロックのリスクが最も高い:出品者が悪意を持っていたり、知識がなかったりすることで、トラブルに巻き込まれる可能性が最も高い購入方法です。
- 商品説明と実物の乖離:写真では綺麗に見えても、実際に届いたら傷だらけだった、というケースは後を絶ちません。
よほどの知識と目利きに自信がある方以外は、手を出さないのが賢明です。
各購入先のメリット・デメリット比較表
項目 | ゲオ | Apple認定整備済み製品 | イオシス/じゃんぱら | フリマアプリ |
---|---|---|---|---|
価格 | △ (割高な場合が多い) | ◎ (お得) | 〇 (適正価格) | △ (ピンキリ、リスク込み) |
品質 | × (ばらつき大) | ◎ (新品同様) | 〇 (ランク分けで明確) | × (博打) |
保証 | × (1ヶ月、バッテリー対象外) | ◎ (新品同様の1年保証) | 〇 (3ヶ月、赤ロム永久保証) | × (原則なし) |
安心感 | △ | ◎ | 〇 | × |
専門性 | △ | ◎ (メーカー) | ◎ (専門店) | × (個人) |
ゲオがターゲットにしている本当の顧客層とは?
では、なぜこれほどデメリットが多いにもかかわらず、ゲオの中古スマホ事業は好調なのでしょうか。それは、ゲオが私たちのようなネットで情報を吟味する層をメインターゲットにしていないからです。
ゲオの主なターゲットは、
- インターネットでの情報収集が苦手な層:店舗で実物を見て、店員の説明だけで購入を決める高齢者など。Apple認定整備済み製品の存在を知らない方がほとんどです。
- 格安SIMとのセット契約を求める層:「UQモバイル開通で2万円引き!」といったキャンペーンに惹かれ、トータルの損得を計算せずに契約してしまう層。
- インバウンド(外国人観光客):円安を背景に、日本の製品を安く手に入れたい旅行者。
つまり、ゲオは情報格差を利用したビジネスモデルとも言えます。この記事を読んでいるあなたは、明らかにそのターゲット層ではありません。だからこそ、ゲオを選ぶべきではないのです。
【保存版】中古iPhone購入時に必ずチェックすべき7つのポイント
どの購入先を選ぶにせよ、中古品である以上、購入前のチェックは欠かせません。以下の7つのポイントは必ず確認しましょう。
- 外観の傷や凹み:ディスプレイだけでなく、側面フレームや背面、カメラ周りまでくまなくチェック。ケースの跡が残っていることもあります。
- 液晶画面の状態:白い画面を表示させ、色ムラや黄ばみ、ドット抜けがないか確認。有機ELモデルの場合は「焼き付き」にも注意が必要です。
- バッテリーの最大容量:設定アプリ →「バッテリー」→「バッテリーの状態と充電」で確認できます。最低でも85%以上、できれば90%以上のものを選びたいところです。
- 価格相場:複数のサイト(イオシス、じゃんぱら、中古価格比較サイトなど)で、同じモデル・容量・ランクの相場を調べておきましょう。
- 保証と返品条件:保証期間、保証内容(バッテリーは対象かなど)、返品可能な条件を必ず確認します。
- IMEI番号(ネットワーク利用制限):IMEI(製造番号)を確認し、各キャリアのネットワーク利用制限確認サイトで「◯」と表示されることをチェックします。
- SIMロックの有無:「設定」→「一般」→「情報」の「SIMロック」の項目が「SIMロックなし」となっていることを確認します。
まとめ
今回は、「ゲオで中古Apple製品を買ってはいけない理由」というテーマで、徹底的にそのリスクと、より賢い購入方法についてレビューしてきました。
結論として、ゲオでの購入は品質のばらつき、不十分な保証、そして割高な価格設定という三重苦を抱えており、情報感度の高いユーザーにとってはメリットの少ない選択肢と言わざるを得ません。
あなたの最適な選択肢は、まず「Apple認定整備済み製品」に希望のモデルがないか探すこと。もし在庫がなければ、次に信頼できる専門店である「イオシス」や「じゃんぱら」を検討するのが王道です。
新しいデバイスを手に入れる高揚感を、購入後の後悔で台無しにしてはいけません。価格の安さだけに惑わされず、品質、保証、そして安心感というトータルバランスで判断することが、最高の買い物体験に繋がります。
このレビューが、あなたの賢いApple製品選びの一助となれば幸いです。