ガジェット評論家兼コラムニストの二階堂仁です。今回も多く寄せられてる質問にお答えしていきます。
この記事を読んでいる方は、待望の新型「AirPods Pro 3」が発売され、その性能、特にバッテリーの減りが実際どうなのか気になっているのではないでしょうか。

引用 : Apple HP
私もAppleの公式情報でバッテリー容量が小さくなったと聞いたときは、「え、本当?大丈夫なのか?」と正直気になりました。だからこそ、実際に手に入れてからというもの、通勤中はもちろん、ワークアウトから長時間の音楽鑑賞まで、あらゆるシーンで徹底的に使い込んでみました。
この記事を読み終える頃には、AirPods Pro 3のバッテリーに関するあなたの疑問や不安は、すっかり解消されているはずです。
記事のポイント
- 公式発表を覆す驚異のバッテリー持続力
- 新機能を使ったワークアウト中でも安心の省電力性能
- 前モデルを遥かに凌駕する異次元のノイズキャンセリング
- Apple Watchの存在を脅かすほどの便利な単体ワークアウト機能

AirPods Pro 3のバッテリー性能、容量縮小は嘘?徹底検証レビュー
多くのユーザーが最も懸念しているであろう、AirPods Pro 3のバッテリー性能。結論から先に言えば、「容量縮小の不安は全くの杞憂」でした。むしろ、実際の使用感はスペックシートの数字を遥かに上回るもので、Appleの技術進化に改めて驚かされる結果となりました。このセクションでは、私が実際に行った様々なテストの結果を交えながら、その真実に迫っていきます。

引用 : Apple HP
AirPods Pro 3のバッテリー容量と公式スペックの謎
まず、噂の真相を探るべく、AirPods Pro 3と前モデルであるAirPods Pro 2の公式スペックを比較してみましょう。
項目 | AirPods Pro 3 (第3世代) | AirPods Pro 2 (第2世代) |
---|---|---|
イヤホン単体の音楽再生時間 | 最大8時間 | 最大6時間 |
イヤホン単体(ノイキャン使用時) | 最大7.5時間 | 最大5.5時間 |
充電ケース込みの音楽再生時間 | 最大38時間 | 最大30時間 |
急速充電 | 5分の充電で約1時間再生 | 5分の充電で約1時間再生 |
表を見て分かる通り、イヤホン本体のバッテリー物理容量は微減したとの情報があるにも関わらず、公式の再生時間は全ての項目でPro 2を大幅に上回っています。特に、充電ケースを併用した際の最大再生時間は38時間と、Pro 2から8時間も延長されています。これは一体どういうことなのでしょうか。その答えは、内部の進化、特に新開発のチップによる驚異的な電力効率の向上にありました。
AirPods Pro 3の実際のバッテリーの減り具合を計測(音楽再生編)
スペックシートの数字も重要ですが、我々が知りたいのは「実際に使ってみてどうなのか」という点です。そこで、都内への移動中に30分間の連続音楽再生テストを実施しました。条件は以下の通りです。
- 音量: 50%
- モード: アクティブノイズキャンセリングON
- 機能: 空間オーディオ(ヘッドトラッキング)ON、会話感知ON
- 開始時のバッテリー残量: 80%
Appleの公称値では、この設定で最大7.5時間持つとされています。30分後、駅のホームでバッテリー残量を確認したところ、「73%」でした。
30分で消費したのはわずか7%。この結果を基に100%から0%まで使い切ると仮定して計算すると、約7.14時間の連続再生が可能ということになります。公称値の7.5時間には僅かに届きませんでしたが、これは私がテスト開始前に少し使用していた影響も考えられます。それでも7時間以上、強力なノイズキャンセリングと空間オーディオを楽しみ続けられるというのは、驚異的と言えるでしょう。通勤や通学で毎日2〜3時間使う程度であれば、数日に一度の充電で十分事足ります。
AirPods Pro 3の新機能「ワークアウト計測」中のバッテリー消費は?
今回のAirPods Pro 3の目玉機能の一つが、心拍センサーの搭載による単体でのワークアウト計測です。これまではApple Watchが必要だった機能ですが、ついにAirPods Pro 3とiPhoneさえあれば、精度の高いワークアウト記録が可能になりました。
しかし、心拍センサーの常時稼働はバッテリーを大きく消費するのではないか?という疑問が湧きます。そこで、今度は「ウォーキング」のワークアウトを計測しながら、同様に30分間のバッテリーテストを行いました。設定は音楽再生テストと全く同じです。
- 開始時のバッテリー残量: 86%
Appleの仕様書によれば、心拍センサーを使ったワークアウト時の再生時間は6.5時間(外部音取り込みモードの場合)と記載されています。私はより負荷の高いノイズキャンセリングモードでテストしました。そして30分後、ウォーキングを終了して残量を確認すると…なんと「80%」。
消費したのはわずか6%です。これを100%からの連続使用に換算すると、約8.33時間も持つ計算になります。これはAppleが公表している外部音取り込みモードでの数値を大幅に上回る、信じがたい結果です。ノイズキャンセリングをONにし、心拍数を常に計測し、さらに音楽を再生するという最もバッテリーを消費するであろう状況で、これほどの持続力を発揮するとは、正直予想外でした。
なぜバッテリー容量が減っても持続時間が延びたのか?その秘密は新チップにあり
物理的なバッテリー容量が小さくなったにも関わらず、なぜこれほどまでに持続時間が延びたのでしょうか。その最大の要因は、AirPods Pro 3に搭載された新しい「H3チップ(仮称)」の存在です。
この新チップは、処理能力が向上しているだけでなく、電力効率が劇的に改善されています。アクティブノイズキャンセリングや外部音取り込みモードの処理、空間オーディオの演算、そして新たに追加された心拍センサーのデータ処理まで、あらゆる動作を従来よりも遥かに少ない電力で実行できるのです。
例えるなら、車のエンジンがダウンサイジングされたのに、燃費が飛躍的に向上して航続距離が伸びたようなものです。Appleはハードウェアとソフトウェアの双方を自社で開発しているため、こうした高度な最適化が可能になります。バッテリーの物理的な大きさに頼るのではなく、テクノロジーの力で「省エネ性能」を極限まで高める。これこそが、AirPods Pro 3のバッテリー革命の真相なのです。
AirPods Pro 3ユーザーの口コミ・評判から見るバッテリーの持ち
私一人のレビューだけでは偏りがあるかもしれませんので、SNSや各種レビューサイトに投稿されている他のユーザーの意見も集めてみました。
- 「Pro 2から買い替えたけど、明らかにバッテリー持ちが良くなってる。一日中外で使ってもケースの充電が残ってるのは安心感が違う」(30代・男性・会社員)
- 「オンライン会議で一日中つけっぱなしにすることが多いけど、Pro 3にしてから途中で充電切れの心配がなくなった。マイク性能も上がってる気がする」(40代・女性・自営業)
- 「最初はバッテリー容量が減ったって聞いて不安だったけど、全然問題なかった。むしろ進化しすぎててビックリ」(20代・男性・学生)
このように、多くのユーザーがバッテリー性能の向上を実感しているようです。特に、前モデルのAirPods Pro 2からの買い替え組からは、その進化を称賛する声が多く聞かれました。
AirPods Pro 3のバッテリーをさらに長持ちさせる5つの設定術
元々バッテリー性能が非常に高いAirPods Pro 3ですが、いくつかの設定を見直すことで、さらに長く使い続けることが可能です。ぜひ試してみてください。
- 「最適化されたバッテリー充電」をオンにする: iPhoneの設定からAirPods Pro 3を選択し、「最適化されたバッテリー充電」をオンにします。これにより、ユーザーの充電パターンを学習し、バッテリーの劣化を最小限に抑えながら充電してくれます。
- 空間オーディオをオフにする: 常に最高の没入感が必要でない場合は、コントロールセンターから空間オーディオを「オフ」または「固定」に設定することで、バッテリー消費を抑えられます。
- 大音量を避ける: 当然ですが、音量が大きいほどバッテリー消費も激しくなります。耳のためにも、適切な音量で楽しむことをお勧めします。
- 使わないときはケースに戻す: AirPodsはケースに戻すことで自動的に充電され、電源もオフになります。デスクの上に置きっぱなしにするのではなく、こまめにケースへ戻す習慣をつけましょう。
- 「探す」ネットワークをオフにする(非推奨): 万が一の紛失時に備えて基本的にはオンにしておくべきですが、どうしてもバッテリーを節約したい最終手段として、「探す」ネットワークから接続を解除する方法もあります。ただし、紛失時のリスクが高まるため注意が必要です。
AirPods Pro 3の充電時間とケースの性能
イヤホン本体だけでなく、充電ケースも進化しています。ケース込みの再生時間が最大38時間に延びたことで、旅行や出張の際も充電ケーブルを持ち歩く頻度が減るでしょう。
また、急速充電機能も健在です。バッテリーが切れてしまっても、わずか5分間ケースで充電するだけで、約1時間の音楽再生が可能になります。会議の前や電車に乗る直前など、少しの時間で素早くリカバリーできるのは非常に心強いポイントです。
AirPods Pro 3のバッテリー劣化はいつから?寿命を延ばすには
AirPods Pro 3に使われているリチウムイオンバッテリーは、残念ながら消耗品です。充放電を繰り返すことで少しずつ劣化し、最大容量が減っていきます。一般的には、約2〜3年で劣化を体感し始めることが多いようです。
バッテリーの寿命を少しでも延ばすためには、以下の点を心がけると良いでしょう。
- 極端な高温・低温環境での使用や保管を避ける。
- バッテリーを0%のまま長期間放置しない。
- 前述した「最適化されたバッテリー充電」をオンにしておく。
丁寧に使えば、より長く快適なオーディオ体験を享受できます。
AirPods Pro 3はバッテリーだけじゃない!驚愕の進化ポイントを徹底解説
AirPods Pro 3の魅力は、驚異的なバッテリー性能だけにとどまりません。むしろ、ノイズキャンセリング性能や音質、そして新機能など、あらゆる面で正統かつ革新的な進化を遂げています。ここでは、バッテリー以外の特筆すべき進化点について、詳しく解説していきます。

引用 : Apple HP
AirPods Pro 3のノイズキャンセリングは異次元の静けさ
AirPods Proシリーズの代名詞とも言えるアクティブノイズキャンセリング機能。Pro 2の時点でも業界最高クラスの性能を誇っていましたが、Pro 3はそれを遥かに凌駕するレベルに達しています。
街中の喧騒が消える
まず驚いたのが、交通量の多い車道沿いを歩いたときです。Pro 2では、車の走行音、特にタイヤが路面を転がる「ゴーッ」という低周波ノイズが少し聞こえていました。しかしPro 3を装着した瞬間、それらの音がスッと消え去り、まるで高級車の車内にいるかのような静寂に包まれるのです。音楽を50%程度の音量で再生していると、横断歩道で隣に車が停止しても気づかないことがあるほどで、安全のために外部音取り込みモードを使いたくなるレベルでした。
電車内がプライベート空間に
次に試したのが、毎日の通勤で利用する電車の中です。「ガタンゴトン」という走行音や「ウィーン」というモーター音は、Pro 3のノイキャン性能の前ではほとんど無力です。アナウンスを聞き逃さないように注意が必要なほど、周囲の騒音が綺麗にカットされます。特に驚いたのは、複数の人がざわめく駅のコンコースです。Pro 3を装着していると、自分がこれほど騒がしい場所にいたのかと、イヤホンを外した瞬間にびっくりするほどの差がありました。
この進化は、前述したH3チップの高い処理能力と、改良された音響アルゴリズムの賜物です。不快なノイズだけを的確に、そして強力に打ち消すことで、どこにいても自分だけの世界に没入できます。
AirPods Pro 3で音楽体験が変わる?音質の進化を聴き比べる
音質に関しても、着実な進化を感じられました。派手な変化ではありませんが、オーディオ機器としての基本性能が確実に底上げされています。
まず、全体の解像度が向上し、一つ一つの音の輪郭がよりクリアに聞こえるようになりました。特に、コーラスや複数の楽器が重なるパートでも、音が混ざり合って団子状になることなく、それぞれの音を聞き分けられます。
低音域は、Pro 2よりもさらに深みと迫力が増しています。ただブーストされているのではなく、タイトでキレのある低音なので、バスドラムのアタックやベースラインのうねりが心地よく響きます。
そして、空間オーディオの精度も向上しています。頭の動きに対する追従がよりスムーズかつ正確になり、まるで自分を中心に音の空間が広がっているかのような、よりリアルな没入感を体験できました。映画やライブ映像との相性は抜群で、一度体験すると元には戻れないほどの魅力があります。
AirPods Pro 3はApple Watchいらず?心拍センサーとワークアウト機能の実力
今回、私が最も革新的だと感じたのが、心拍センサーの搭載です。これにより、これまでApple Watchの独壇場だったワークアウトの計測が、iPhoneとAirPods Pro 3だけで可能になりました。
Apple Watchを持っていない人への福音
フィットネスへの関心は高いけれど、Apple Watchを追加で購入するのは少しハードルが高い、と感じていた方にとっては、まさに朗報です。ランニングやウォーキングを始める際に、まずはAirPods Pro 3を導入するという選択肢が生まれました。
実際にiPhoneのフィットネスアプリからウォーキングを開始してみると、リアルタイムの心拍数が正確に表示され、運動強度ゾーンも確認できました。計測精度も、同時に装着していたApple Watchの数値とほとんど差がなく、信頼性は非常に高いと感じました。ワークアウト終了後には、ルートやペース、消費カロリーと共に心拍数の推移グラフが記録されるため、日々の健康管理やトレーニングのモチベーション維持に大いに役立ちます。
ある意味「Apple Watchキラー」
もちろん、Apple Watchには心電図や血中酸素ウェルネスの測定など、より高度なヘルスケア機能がありますが、ランニングやウォーキングといった一般的なワークアウトが主目的であれば、AirPods Pro 3で十分な役割を果たしてくれます。手首に何も着けずに、より身軽に運動を楽しみたい人にとって、これは「Apple Watchキラー」にさえなり得る、非常に強力な機能です。
AirPods Pro 3のデザインと装着感、地味ながら重要な変化点
デザインは一見すると前モデルとほとんど変わりませんが、細部に重要な改良が加えられています。
まず、付属するイヤーチップです。サイズ展開が増えただけでなく、先端部分にフォーム素材が追加され、中央の軸がよりしっかりとした構造になりました。これにより、耳へのフィット感が向上し、遮音性が高まっています。
さらに、イヤホン本体のノズル(音が出る部分)の角度が微妙に変更され、より耳の奥へと自然に収まるように設計されています。実際に装着してみると、Pro 2よりも少し固めで、カチッとハマるような安定感がありました。走ったり頭を振ったりしてもズレる気配がなく、ワークアウト中の安心感にも繋がっています。
充電ケースも一回り大きくなりましたが、これはバッテリー容量向上のためでしょう。Pro 2にあったインジケーターランプはケースを開けたときだけ点灯する隠し仕様になり、背面の物理的なリセットボタンは廃止され、タップ操作でのリセットに変更されるなど、よりミニマルなデザインへと進化しています。
AirPods Pro 3の初期設定とペアリングの手順
Apple製品ならではの体験ですが、初期設定は驚くほど簡単です。
- iPhoneの近くでAirPods Pro 3のケースの蓋を開ける。
- iPhoneの画面に表示されるポップアップの「接続」をタップする。
- 画面の指示に従い、両耳に装着する。
たったこれだけでペアリングは完了です。一度設定すれば、同じApple IDでサインインしているiPadやMac、Apple Watchにも自動的に接続情報が共有されます。このシームレスな連携こそが、Appleエコシステムの最大の強みと言えるでしょう。
AirPods Pro 3は買いか?AirPods Pro 2ユーザーの買い替えは必要?
ここまで解説してきた内容を踏まえ、どのような人にAirPods Pro 3をおすすめできるかをまとめてみます。
- 旧モデル(初代Proなど)や他社製品ユーザー: 迷わず「買い」です。ノイズキャンセリング、音質、バッテリー、新機能、その全てが劇的に進化しており、感動的な体験が待っています。
- これからワイヤレスイヤホンを初めて買う人: 少し高価ですが、最高の体験を求めるならAirPods Pro 3が最適解です。Apple製品との連携のスムーズさは、他では得られない快適さをもたらします。
- AirPods Pro 2ユーザー: これは悩ましいところです。Pro 2も依然として非常に高性能なイヤホンです。しかし、「より強力なノイズキャンセリングが欲しい」「Apple Watchなしでワークアウトを計測したい」「バッテリー持ちのストレスから解放されたい」という明確な目的があるなら、買い替える価値は十分にあります。その進化の度合いに、きっと満足できるはずです。
AirPods Pro 3の隠れた新機能と今後のアップデートへの期待
AirPods Pro 3には、ライブ翻訳機能など、まだそのポテンシャルを完全には発揮しきれていない機能も搭載されています。これらは今後のiOSのアップデートによって、さらに便利になっていくことが期待されます。購入後もソフトウェアアップデートによって進化し続ける、というのもAirPodsの魅力の一つです。
まとめ
今回は、新型AirPods Pro 3について、特に多くの人が気にしているであろうバッテリー性能を中心に、徹底的なレビューをお届けしました。
結論として、AirPods Pro 3のバッテリーの減りが早いという心配は全く不要です。むしろ、新チップによる驚異的な電力効率の向上により、公式スペックを上回るほどの持続力を実現しています。さらに、異次元の静けさを提供するノイズキャンセリング、Apple Watchの代わりにもなり得るワークアウト機能など、全方位に進化した「完成形」とも言えるワイヤレスイヤホンに仕上がっていました。
もしあなたがAirPods Pro 3の購入を迷っているなら、その背中を強く押したいと思います。バッテリーの心配は無用です。この静寂と利便性は、あなたの音楽ライフ、そして日々の生活そのものを、確実にアップグレードしてくれるでしょう。