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Z世代のiPhone率が異常に高い理由|経済事情や仲間内でのコミュニティを解説

ガジェット評論家兼コラムニストの二階堂仁です。今回も多く寄せられてる質問にお答えしていきます。

この記事を読んでいる方は、新しいスマートフォンの購入を検討中で、特にiPhoneに興味があるものの、その価格の高さに躊躇しているのではないでしょうか。そして、「なぜ収入が少ないはずのZ世代の間で、あれほどまでにiPhoneの利用率が高いのか」という素朴な疑問を抱いていることと思います。

私も数多くのガジェットをレビューしてきましたが、このZ世代とiPhoneの関係性は非常に興味深く、その気持ちはよくわかります。

この記事を読み終える頃には、Z世代がiPhoneを選ぶ文化的背景から、彼らがどのようにして高価なデバイスを手に入れているのかという経済事情まで、その全ての疑問が解決しているはずです。

記事のポイント
  • Z世代のiPhone選択と仲間意識
  • iPhoneが持つファッション性
  • Z世代のiPhone購入術と経済観念
  • Androidとの比較で見える価値観
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Z世代のiPhone率が異常に高い文化的・社会的理由

近年、街中や電車内を見渡すと、若い世代、特にZ世代と呼ばれる層の多くがiPhoneを手にしていることに気づきます。実際に各種調査データを見ても、日本の10代から20代前半におけるiPhoneのシェア率は他の世代と比較して突出しており、まさに「異常」とも言えるほどの高さです。

なぜ彼らはこれほどまでにiPhoneに惹きつけられるのでしょうか。単なる性能やブランドイメージだけでは説明できない、彼ら特有の文化的・社会的背景がそこには存在します。ここでは、Z世代がiPhoneを選ぶ根源的な理由を多角的に掘り下げていきましょう。

みんなが持っているからという「同調」の力学

Z世代のiPhone選択における最も根源的で強力な理由は、「みんなが持っているから」という非常にシンプルなものです。しかし、これは単なる思考停止や主体性の欠如ではありません。彼らが生きる現代社会、特に学校やアルバイト先といったコミュニティにおいて、「調和」や「同質性」は非常に重要な価値観を持っています。

仲間外れへの潜在的な恐怖

思春期から青年期にかけての若者にとって、所属するコミュニティからの疎外感は大きなストレスとなります。友人グループの会話、SNSでのやり取り、共有される写真や動画。その中心にiPhoneが存在する場合、自分だけがAndroidスマートフォンを使っているという事実は、たとえ些細なことであっても心理的な壁を生み出す可能性があります。「自分だけ違う」という状況は、会話の輪に入りづらくなったり、共通の話題についていけなくなったりするリスクを孕んでいます。

この「仲間外れになりたくない」という深層心理が、スマートフォン選びにおいて強力な同調圧力として機能します。機能的な優劣を比較検討する以前に、「iPhoneを選んでおけば間違いない」「みんなと一緒だから安心」という思考が働くのです。これは、彼らが持つ繊細なコミュニケーション感覚の表れとも言えるでしょう。

コミュニケーションツールとしての「AirDrop」の重要性

「みんなが持っている」という状況が、さらにiPhoneの優位性を強固にする具体的な機能が「AirDrop」です。iPhone、iPad、MacなどのApple製品同士で、連絡先を交換していなくても写真や動画、ファイルを瞬時に共有できるこの機能は、Z世代のコミュニケーションにおいて不可欠なツールとなっています。

「エアドロして」が合言葉

文化祭や体育祭、友人との旅行、カフェでの何気ないひととき。Z世代が集まる場所では、撮影した写真や動画をその場で共有するのが当たり前の光景です。その際の合言葉は「エアドロして」。LINEや他のSNSを経由するよりも圧倒的に高速かつ高画質でデータを交換できるAirDropは、彼らのリアルタイムな体験共有のニーズに完璧に応えています。

ここでAndroidユーザーがいると、「あ、AirDrop使えないんだ」「じゃあ後でLINEで送るね」といった一手間が発生します。この僅かなタイムラグや手順の違いが、その場の盛り上がりに水を差し、本人に気まずさや疎外感を感じさせてしまうことがあります。たった数秒のことかもしれませんが、シームレスな体験共有が重視されるZ世代のコミュニティにおいて、この「一手間」は想像以上に大きな意味を持つのです。この経験が積み重なることで、「iPhoneでなければ不便だ」という認識が強く刷り込まれていきます。

ファッションアイテムとしてのiPhoneのデザイン性

Z世代は、デジタルネイティブであると同時に、自己表現への欲求が非常に高い世代でもあります。彼らにとってスマートフォンは、単なる通信機器ではなく、自分自身を表現するためのファッションアイテムの一部です。その点において、iPhoneの持つミニマルで洗練されたデザインは、大きな魅力となっています。

Apple製品に共通するシンプルかつ直感的なデザインは、余計な装飾を削ぎ落とした美学に基づいています。この普遍的なデザインが、「持っているだけでセンスが良い」というブランドイメージを確立しました。特に、スマートフォンの背面にあるリンゴのロゴは、単なるメーカーロゴを超え、一種のステータスシンボルとして機能しています。友人との写真や鏡越しの自撮り(ミラーセルフィー)で、このロゴがさりげなく見えることは、彼らの自己ブランディングにおいて重要な要素となっているのです。

豊富なスマホケースによる究極のカスタマイズ性

iPhoneがファッションアイテムとしてZ世代に受け入れられているもう一つの大きな理由が、スマートフォンケースや周辺アクセサリーの圧倒的な豊富さです。

「自分らしさ」を表現するキャンバス

Androidスマートフォンはメーカーや機種が多岐にわたるため、一つのモデルに対応するケースの種類は限定的です。しかし、iPhoneはApple一社が製造し、世界的に統一されたデザインを持つため、サードパーティメーカーはiPhone向けのケースを大量に、かつ多様なデザインで開発・販売することができます。

家電量販店や雑貨店、オンラインストアには、有名ブランドのロゴが入ったものから、個性的なアーティストのデザイン、クリアケースに好きな写真やステッカーを挟んで自作できるものまで、無数の選択肢が存在します。これにより、Z世代はiPhoneという統一されたプラットフォームの上で、無限のカスタマイズを楽しみ、「自分だけのiPhone」を作り上げることができます。特に、自分の好きなアイドルやキャラクター(推し)の写真やアクリルスタンドをケースに入れて持ち歩く「推し活」文化との親和性は非常に高く、iPhoneは彼らのアイデンティティを表現するためのキャンバスとなっているのです。

SNSとの親和性の高さと「映え」の追求

InstagramやTikTokといったビジュアル重視のSNSは、Z世代の日常に深く根付いています。そして、これらのプラットフォームで注目を集める「映える」コンテンツを作成する上で、iPhoneは非常に強力なツールであると認識されています。

撮影から編集、共有までシームレス

iPhoneのカメラ性能は常に業界最高水準を維持しており、特に動画撮影における手ブレ補正や色表現、シネマティックモードといった機能は、誰でもプロのような映像を手軽に撮影できると高く評価されています。また、App Storeには「CapCut」や「VLLO」といった高機能な動画編集アプリが豊富に揃っており、撮影から編集、そしてSNSへの投稿まで、iPhone一台で完結するシームレスなワークフローが実現します。

さらに、MacBookやiPadといった他のApple製品との連携(エコシステム)も強みです。iPhoneで撮影した写真や動画は、iCloudを通じて自動的にMacBookに同期され、より高度な編集作業へスムーズに移行できます。このAppleエコシステム全体での一貫した使いやすさが、コンテンツクリエイターを目指すZ世代にとって大きな魅力となっています。

有名インフルエンサーや著名人の影響

Z世代の消費行動は、テレビCMや雑誌広告よりも、SNSでフォローしているインフルエンサーや憧れの著名人の影響を強く受けます。そして、彼らの多くが日常的にiPhoneを使用している様子をSNS上で公開しています。

憧れのモデルやYouTuberが鏡の前でiPhoneを使って自撮りをしている投稿、好きなアーティストがiPhoneで撮影した舞台裏の映像。これらは、単なる製品紹介以上に強力なメッセージとなります。「あの人と同じものを使いたい」という憧れの気持ちが、iPhoneを選ぶ直接的な動機になることは少なくありません。インフルエンサーが発信するライフスタイル全体への共感が、その構成要素であるiPhoneへの購買意欲へと繋がっているのです。

家族もiPhoneユーザーであることの安心感

日本は世界的に見てもiPhoneのシェアが非常に高い国であり、それは若者世代に限りません。Z世代の親世代(30代〜50代)にもiPhoneユーザーは多く、この「家族のiPhone率の高さ」も、Z世代が最初のスマートフォンとしてiPhoneを選ぶ大きな要因となっています。

世代を超えた知識の共有

スマートフォンを初めて手にする子供にとって、操作方法で分からないことがあった時に、最も身近な親にすぐに質問できる環境は非常に心強いものです。親も同じiPhoneを使っていれば、設定方法や便利な使い方をスムーズに教えることができます。

逆に、子供が新しい機能やアプリの使い方をマスターすれば、それを親に教えてあげるという、世代間のデジタルデバイドを埋めるコミュニケーションも生まれます。これがAndroidの場合、メーカーや機種によって操作体系(UI)が異なるため、「その機種の設定はどうやるの?」といった具体的な質問に答えにくい場面が出てきます。iPhoneであれば世代を超えて共通の知識を持ちやすく、家族間のサポート体制が築きやすいというメリットがあるのです。

キャリアの販売戦略と「実質0円」文化の名残

日本の大手通信キャリア(ドコモ、au、ソフトバンク)は、長年にわたりiPhoneを主力製品として大々的に販売してきました。かつては「実質0円」や「一括1円」といった極端な割引販売が横行し、「スマートフォン=iPhone」というイメージを市場に強く植え付けました。

現在は法改正により過度な割引は規制されましたが、その代わりに「端末購入プログラム」が主流となっています。これは、端末を分割払いで購入し、約2年後に端末をキャリアに返却することで、残りの分割金の支払いが免除されるという仕組みです。このプログラムを利用すれば、10万円以上する最新のiPhoneでも、月々数千円の負担で利用できるため、高価な端末を「購入する」というハードルを大きく下げています。このような販売戦略が、「高校入学=iPhoneデビュー」という文化を根付かせ、Z世代にとってiPhoneが「当たり前」の選択肢となる土壌を形成してきたのです。

Z世代のiPhone購入術|高価な端末をどう手に入れる?

Z世代がiPhoneを渇望する文化的・社会的背景は理解できても、やはり最大の疑問は「収入が少ない、あるいは全くない彼らが、どうやって10万円以上もする高価なデバイスを購入しているのか」という点でしょう。

引用 : Apple HP

ここには、彼ら世代の堅実な金銭感覚と、現代ならではの多様な購入方法が反映されています。彼らは決して無理をして見栄を張っているだけではないのです。Z世代のリアルな経済事情と、賢いiPhone購入術に迫ります。

最も多いのは「親に買ってもらう」ケース

Z世代がiPhoneを手に入れる最も一般的な方法は、依然として「親からの支援」です。特に、高校や大学への入学祝いとして、親が子供にスマートフォンを買い与える文化は日本に広く根付いています。

家族の通信費としての一括管理

多くの家庭では、子供の通信費も家計の一部として親が管理しています。その際、家族全員で同じキャリアに加入することで適用される「家族割」を利用するのが一般的です。新しいスマートフォンを購入するタイミングも、この家族割の契約更新やプラン見直しの時期と重なることが多く、親が機種選定の主導権を握る(あるいは子供の希望を汲んで購入する)ケースが多数を占めます。Z世代自身がアルバEイトなどで収入を得ていたとしても、高価なスマートフォンの購入費用までを全て自己負担するケースはまだ少数派と言えるでしょう。

キャリアの「端末購入プログラム」を最大限に活用

前述の通り、現在の大手キャリアにおけるスマートフォン販売の主流は「端末購入プログラム」です。この仕組みをZ世代(あるいはその親)は巧みに利用しています。

キャリア名 プログラム名(例) 概要
NTTドコモ いつでもカエドキプログラム 23ヶ月目に端末を返却すると、24回目の分割支払金(残価)が不要に。
au スマホトクするプログラム 25ヶ月目までに端末を返却すると、最終回の分割支払金(残価)が不要に。
ソフトバンク 新トクするサポート 25ヶ月目または13ヶ月目に端末を返却すると、残りの分割支払金が不要に。
楽天モバイル 楽天モバイル買い替え超トクプログラム 25ヶ月目以降に端末を返却し新機種に機種変更すると、残債の支払いが不要に。

これらのプログラムの本質は、「所有」ではなく「利用」にあります。約2年ごとに最新機種に乗り換えることを前提としており、端末を最終的に自分のものにする必要がないユーザーにとっては、総支払額を大幅に抑えることができます。これは、常に新しいものを求めるZ世代の価値観や、モノを所有することにこだわらない「サブスクリプション」的な感覚と非常にマッチしています。月々の支払い負担が少ないため、アルバイト代の中からでも十分に支払っていける金額に収まることが、彼らにとって大きな魅力となっているのです。

新品にこだわらない「中古iPhone」という選択肢

Z世代は、フリマアプリやリユースショップを日常的に使いこなす世代でもあります。その価値観はスマートフォン選びにも反映されており、新品にこだわらず「中古iPhone」を選択する層も増えています。

リファービッシュ品という安心な選択

中古と聞くと「品質が心配」「バッテリーが劣化していそう」といった不安を感じるかもしれませんが、近年では「リファービッシュ品(整備済製品)」の市場が拡大しています。これらは、初期不良などで返品された端末をメーカーや専門業者が修理・点検し、新品同様の状態にしたものです。多くの場合、バッテリーも新品に交換されており、品質保証が付いているため安心して購入できます。新品よりも数万円安く手に入るため、コストを抑えたいZ世代にとって非常に合理的な選択肢となっています。

また、メルカリやラクマといったフリマアプリでは、個人間での売買が活発に行われています。端末の状態を写真や説明文で細かく確認し、相場を理解した上で購入するなど、彼らはデジタルツールを駆使して賢く買い物をしているのです。

最新モデルを追わない「型落ち」という賢い選択

全てのZ世代が最新・最高のスペックを求めているわけではありません。SNSや動画視聴、友人との連絡といった日常的な使い方であれば、1〜2世代前の「型落ちモデル」でも性能は十分すぎるほどです。このことを理解しているZ世代は、あえて最新モデルの発売を待ち、価格が下がった旧モデルを狙って購入します。

iPhone SEシリーズの絶大な人気

特に人気が高いのが「iPhone SE」シリーズです。最新のプロセッサを搭載しつつも、指紋認証(Touch ID)や比較的コンパクトなボディといった旧モデルの要素を残し、価格を抑えたこのシリーズは、「性能は欲しいけど価格は抑えたい」というZ世代のニーズに完璧に応えています。最新のナンバリングモデルが15万円を超える中で、iPhone SEは7万円前後から購入できるため、コストパフォーマンスを重視する層から絶大な支持を得ています。

アルバイト代やお年玉を貯めて自力で購入

親の支援に頼らず、自力でiPhoneを購入するZ世代ももちろん存在します。彼らは、数ヶ月にわたってアルバEイトに励んだり、お年玉やお小遣いを切り詰めたりして、購入資金を貯めます。

目標のために努力し、自分の力で高価な製品を手に入れるという経験は、彼らにとって大きな達成感と製品への愛着をもたらします。SNS上では、「#iPhone貯金」といったハッシュタグで、目標達成までの道のりを共有し、仲間と励まし合うような動きも見られます。これは、彼らが単に消費するだけでなく、目標設定と達成のプロセスを楽しんでいることの表れです。

「リセールバリューの高さ」を理解している

Z世代がiPhoneを選ぶ背景には、非常に現実的で優れた経済観念も存在します。それが「リセールバリュー(再販価値)」の高さです。

iPhoneは、世界中に膨大な需要があり、OSのアップデートも長期間保証されているため、Androidスマートフォンと比較して中古市場での価格が非常に下がりにくいという特徴があります。例えば、2年使用した端末を売却する場合、Android端末は購入価格の10%〜30%程度の価値しか残らないことも珍しくありませんが、iPhoneは50%〜60%以上の価格で売れることもあります。

Z世代の中には、このリセールバリューの高さを理解した上で、「次の機種変更時に高く売れるから、初期投資は高くても実質的な負担は少ない」と考えてiPhoneを選んでいる層がいます。これは、単なる目先の価格だけでなく、製品ライフサイクル全体で見たトータルコストを意識した、非常に高度な判断と言えるでしょう。彼らは、iPhoneが単なる消費財ではなく、価値の落ちにくい「資産」としての一面も持っていることを見抜いているのです。

まとめ

今回のレビューでは、Z世代のiPhone利用率がなぜこれほどまでに高いのか、その理由を文化的・社会的背景と、彼らのリアルな経済事情の両面から深く掘り下げてきました。

Z世代がiPhoneを選ぶのは、単にデザインがおしゃれだから、あるいは性能が良いからという単純な理由だけではありません。そこには、「みんなと一緒でいたい」というコミュニティへの帰属意識、AirDropというコミュニケーションの必須ツール、そして自分らしさを表現するためのファッションアイテムとしての役割など、彼らの価値観に深く根ざした複合的な要因が存在します。

そして、その高価なデバイスを手に入れるために、彼らは親の支援を受けるだけでなく、キャリアの分割プログラムを巧みに利用したり、中古品や型落ちモデルを選んだり、あるいはリセールバリューの高さまで見越したりと、驚くほど多様で賢い方法を実践しています。

スマートフォン選びは、その人のライフスタイルや価値観を映し出す鏡のようなものです。もしあなたがiPhoneの価格に悩んでいるのであれば、彼らのように様々な購入方法を検討してみることで、新たな道が開けるかもしれません。このレビューが、あなたの最適な一台を見つけるための一助となれば幸いです。