ガジェット評論家兼コラムニストの二階堂仁です。今回も多く寄せられてる質問にお答えしていきます。
この記事を読んでいる方は、先日発表されたXiaomiの新フラッグシップモデル「Xiaomi 17/17 Pro」が、なぜここまでAppleの「iPhone 17」に似ているのか、その意図や戦略について気になっていることでしょう。
私も長年のAppleユーザーとして、Xiaomi 17のリーク画像が流れてきたときは正直、目を疑いました。その露骨さへの驚きと、背景にあるであろうXiaomiの野心。気になる気持ちはよくわかります。

引用 : Xiaomi HP
この記事を読み終える頃には、Xiaomiの巧妙な戦略、単なる模倣品ではないと主張するだけの理由、そして今後のスマートフォン市場の行方まで、深く理解できているはずです。
記事のポイント
- Xiaomi 17シリーズのiPhone 17模倣疑惑の真相
- 賛否両論を呼ぶXiaomiの炎上マーケティング戦略
- 模倣疑惑を覆す革新的独自機能「Magic Back Screen」
- iPhone 17シリーズとの徹底スペック比較とXiaomiの優位性

Xiaomi 17がiPhone 17の模倣と批判され炎上した理由
スマートフォン業界に激震が走りました。2025年9月25日、中国の雄・Xiaomiが満を持して発表した新フラッグシップモデル「Xiaomi 17」および「Xiaomi 17 Pro」。
しかし、その発表は賞賛よりも、ある疑惑とそれに伴う激しい論争の渦に包まれることとなります。そう、絶対王者Appleが先に発表した「iPhone 17」シリーズとのあまりにも露骨な類似性です。

「またか」という呆れの声、「確信犯だ」という怒りの声、そして「戦略としては見事だ」という一部の冷静な分析。SNSやガジェット系フォーラムは、まさに蜂の巣をつついたような騒ぎとなりました。なぜXiaomiは、これほどまでに分かりやすい形でiPhone 17に「寄せた」のでしょうか。そこには、彼らのしたたかで野心的なマーケティング戦略が透けて見えます。
意図的なナンバリング変更?「16」を飛ばしたXiaomiの思惑
まず、誰もが最初に疑問に思ったのが、その「名前」です。Xiaomiのフラッグシップシリーズは、これまで「Xiaomi 14」「Xiaomi 15」と順調に数字を重ねてきました。当然、次に来るのは「Xiaomi 16」のはず。しかし、彼らはその「16」を飛び越し、いきなり「Xiaomi 17」と名乗ることを決めたのです。
これは偶然でしょうか?いや、断じて違うでしょう。明らかに、同年に発表されたAppleの「iPhone 17」に数字を揃えてきたと考えるのが自然です。これにより、消費者がスマートフォンを探す際、「iPhone 17」と「Xiaomi 17」が強制的に比較検討の土俵に上がることになります。 これは、知名度で劣るXiaomiが、王者の威光を借りて自社製品に注目を集めるための、極めてアグレッシブな戦略と言えます。
もちろん、Xiaomi側はこの意図を真っ向から否定しています。Xiaomiの幹部であるLiu Weibing氏は、「これは製品力の飛躍を意味するためであり、決してAppleに追従しているわけではない」と公式にコメントしました。しかし、額面通りに受け取る業界関係者や消費者はほとんどいないでしょう。この「言い訳」すらも、話題性を高めるための計算された発言だと見る向きが強いのが現状です。
一目で分かる酷似したデザイン、特にカメラユニット
名前だけではありません。リーク段階からネットを騒がせていたのが、その本体デザイン、とりわけ背面のカメラユニットの形状です。今回発表されたXiaomi 17 Proのカメラユニットは、iPhone 17 Pro Maxのそれと驚くほど似通っています。レンズの配置や全体のシルエットは、見間違えるほどそっくりです。

引用 : Apple HP
これに対しても、当然ながらXiaomiは反論を用意していました。前述のLiu Weibing氏はライブ配信で、「我々の長方形レンズのデザインは、2021年に発表したXiaomi 11 Ultraが元祖だ。Appleの模倣ではない」と、自社のデザインの先進性を主張しました。
確かに、複数のレンズを一つのユニットにまとめるというコンセプトは、Xiaomiが先駆的に取り組んできた歴史があります。しかし、消費者が指摘しているのはコンセプトの起源ではなく、**「最新モデルであるiPhone 17 Pro Maxと、Xiaomi 17 Proの形状が酷似している」**という事実です。論点を巧みにずらしている、と言われても仕方のない反論でしょう。この一連のやり取りは、火に油を注ぐ結果となり、炎上をさらに加速させました。
過去にもあった?模倣から始まるXiaomiのマーケティング戦略
実は、XiaomiがApple製品に似た製品を出すのは、今回が初めてではありません。創業当初から「中国のApple」と揶揄されるほど、その製品デザインやプレゼンテーションの手法はAppleの影響を色濃く受けてきました。
かつてのCEO、雷軍(レイ・ジュン)氏が、スティーブ・ジョブズを彷彿とさせる黒のTシャツとジーンズ姿でプレゼンテーションを行ったことはあまりにも有名です。製品デザインだけでなく、ブランドイメージの構築においても、Appleを徹底的にベンチマークしてきた歴史があります。
この手法は、後発ブランドが市場に参入する際の常套手段とも言えます。
- 教育コストの削減:既に市場のリーダーが確立した「成功のデザイン」を模倣することで、消費者に製品の価値をゼロから説明する手間を省けます。「iPhoneに似ていて、安くて高機能」というだけで、多くの消費者にとっては十分な訴求力となるのです。
- 安心感の醸成:見慣れたデザインは、消費者に無意識の安心感を与えます。奇抜なデザインは敬遠されるリスクがありますが、王道デザインを踏襲することで、そのリスクを回避できます。
- 話題性の創出:「パクリだ!」という批判は、裏を返せばそれだけ注目を集めている証拠でもあります。無関心でいられるよりも、たとえ批判的であっても話題になる方が、ブランドの認知度向上には繋がるのです。
Xiaomiは、この「模倣」と「批判」を巧みに利用し、ブランドの知名度を一気に引き上げてきた企業なのです。
炎上商法?あえてAppleファンを敵に回す狙い
今回のXiaomi 17の件は、こうした過去の戦略の延長線上にありつつも、より巧妙かつ挑発的になっています。ナンバリングを合わせ、デザインを酷似させる。これは、単なる模倣を超え、明確な「炎上マーケティング(ノイズマーケティング)」の意図が見え隠れします。
熱心なAppleファンは、当然ながらXiaomiのあからさまな手法に強い不快感を示し、SNSなどで激しく批判するでしょう。しかし、Xiaomiにとってはその反応すらも織り込み済み。むしろ、歓迎している節さえあります。
Appleファンが騒げば騒ぐほど、「iPhone 17」と「Xiaomi 17」の名前がセットで世の中に拡散されます。そして、こう思う層が必ず現れるのです。 「そこまで言われるほど似ているのか?」 「iPhoneは高いけど、同じようなデザインで性能も良いならXiaomiもアリかも?」
つまり、最大のアンチであるはずのAppleファンが、結果的にXiaomi 17の最も効果的な宣伝役を担わされてしまうという構図です。これは、Appleという巨大な存在を鏡のように利用し、自社の姿を市場に映し出す、非常に高度な情報戦と言えるでしょう。
ブランドイメージへの長期的影響は
ただし、この戦略は諸刃の剣です。短期的には売上や知名度を大きく伸ばす可能性がありますが、長期的には「模倣品メーカー」「オリジナリティのない企業」というレッテルを貼られ、ブランドイメージを損なう危険性も孕んでいます。
Xiaomi自身もそのリスクは十分に理解しているはずです。だからこそ、彼らは単なる模倣では終わらない「隠し玉」を用意していました。その点については、次の章で詳しく見ていきましょう。
意匠権など法的な問題はクリアできるのか
「ここまで似ていて、法的に問題はないのか?」と疑問に思う方もいるでしょう。スマートフォンのデザインに関する意匠権は非常に複雑です。細部のデザインやアール(角の丸み)の処理、ボタンの配置などをわずかに変更するだけで、法的な権利侵害を回避できるケースが多く、大手メーカー同士がデザインの類似性で訴訟に発展しても、決着がつくまでには長い年月と莫大な費用がかかります。
Xiaomiは、世界中でビジネスを展開する巨大企業であり、その法務部門が意匠権を侵害しないギリギリのラインを熟知していることは間違いありません。今回のデザインも、法的な問題をクリアできるという確信のもとで市場に投入してきたと考えるべきでしょう。消費者が抱く「パクリだ」という感情と、法的な「権利侵害」との間には、大きな隔たりがあるのが現実です。
スペックと独自性で見るXiaomi 17|ただの模倣ではない理由
炎上の渦中にあるXiaomi 17シリーズですが、その批判を「模倣品」という一言で片付けてしまうのは早計です。デザインやネーミングの類似性という皮を一枚めくると、そこにはAppleのiPhone 17をも凌駕しかねない、驚異的な性能と革新的な機能が隠されています。Xiaomiは、炎上マーケティングで注目を集めた消費者を、その圧倒的な実力で唸らせ、最終的にファンへと取り込むという二段構えの戦略をとっているのです。

引用 : Xiaomi HP
ここでは、iPhone 17シリーズとXiaomi 17シリーズのスペックを客観的に比較し、Xiaomiが「我々は模倣企業ではない」と主張する根拠となっている独自機能について深く掘り下げていきます。
iPhone 17シリーズ vs Xiaomi 17シリーズ スペック徹底比較
まずは、両者の公表されているスペックを比較してみましょう。どちらも各社が威信をかけて開発したフラッグシップモデルだけあり、甲乙つけがたい高性能ぶりです。
スペック項目 | iPhone 17 Pro | Xiaomi 17 Pro | 備考 |
---|---|---|---|
プロセッサ | Apple A20 Bionic (仮) | Snapdragon 8 Elite Gen 5 | Xiaomiが世界初搭載・独占供給 |
ディスプレイ | 6.3インチ Super Retina XDR | 6.3インチ AMOLED | Xiaomiはベゼル幅1.18mmを実現 |
リフレッシュレート | 最大120Hz ProMotion | 最大144Hz (予測) | より滑らかな表示が期待される |
背面カメラ | トリプルカメラシステム | LEICA監修 トリプルカメラ | 詳細は後述 |
前面カメラ | Under Display Camera | パンチホール式 | iPhoneはより没入感が高い |
バッテリー容量 | 非公表 | 5,000mAh (予測) | 一般的にAndroid機が優位 |
充電速度 | 有線: 約30W, 無線: 15W | 有線: 120W, 無線: 50W | Xiaomiが圧倒的な速度 |
独自機能 | Dynamic Island | Magic Back Screen | Xiaomi最大の武器 |
OS | iOS 26 | HyperOS (Androidベース) | 操作性とエコシステムの違い |
本体価格 (予測) | 164,800円〜 | 105,000円〜146,000円 | 同等性能でXiaomiが安価 |
この表から見えてくるのは、Xiaomi 17 Proが多くの項目でiPhone 17 Proと互角、あるいはそれ以上のスペックを持っているという事実です。特に、プロセッサ、充電速度、そして価格面での優位性は明らかです。
世界初搭載「Snapdragon 8 Elite Gen 5」の衝撃
Xiaomi 17シリーズの心臓部には、Qualcomm社の最新にして最強のプロセッサ「Snapdragon 8 Elite Gen 5」が、世界で初めて搭載されます。これは単なる「初搭載」に留まりません。XiaomiはQualcommとの間に特別な契約を結び、この高性能チップを数ヶ月間にわたって独占的に使用する権利を確保したと報じられています。
これは、何を意味するのか。つまり、発売からしばらくの間、**「世界で最も高性能なAndroidスマートフォンはXiaomi 17である」**という状況が続くということです。ライバルであるSamsungのGalaxyシリーズやGoogleのPixelシリーズでさえ、この最新チップをすぐには使えないのです。
Xiaomiは、莫大な資金を投じてこの独占権を勝ち取りました。これは、性能面において絶対的なアドバンテージを確保し、「iPhoneの模倣品」というイメージを根底から覆すための、極めて強力な一撃と言えるでしょう。
模倣疑惑を覆す革新的機能「Magic Back Screen」
そして、Xiaomi 17 Proが持つ最大の切り札が、革新的な独自機能**「Magic Back Screen」**です。これは、本体の背面に搭載された、もう一つのサブディスプレイです。
「背面に画面?バッテリーの無駄では?」「落としたら一発で割れそう」 そう思った方も多いでしょう。しかし、Xiaomiはこの機能に並々ならぬ情熱と技術、そして資金を注ぎ込みました。
開発費208億円の挑戦
Xiaomiによると、このMagic Back Screenの開発には、実に**10億元(日本円で約208億円)**もの巨費が投じられたといいます。これは対策映画の制作費に匹敵するほどの金額です。なぜ、そこまでして背面にスクリーンを付けたかったのか。その答えは、このスクリーンで「できること」にあります。
Magic Back Screenの多彩な機能
このサブディスプレイは、単に通知や時間を表示するだけのものではありません。
- 通知と操作:着信への応答、音楽の再生・停止、アラームの操作などがメインスクリーンを開かずに行えます。
- 情報表示:フライト情報や電車の時刻、料理のタイマーなど、様々な情報を常時表示できます。
- パーソナライズ:好きな画像やアニメーションを表示し、スマートフォンのデザインを自分好みにカスタマイズできます。
そして、この機能の真骨頂は、カメラとの完璧な連携にあります。
スマートフォン史上最高の自撮り体験
Magic Back Screenは、カメラのファインダーとして機能します。これにより、スマートフォンで最も高性能なメインカメラ(背面カメラ)を使い、自分の顔をリアルタイムで確認しながら自撮りができるのです。
通常、自撮りに使われるインカメラは、画質やセンサーサイズの面でメインカメラに劣ります。しかし、Xiaomi 17 Proなら、LEICAが監修した最高品質のカメラで、驚くほど高精細で美しい自撮り写真を撮影可能。もはやインカメラは不要とさえ思える、まさに革命的な体験です。
Xiaomiは、この圧倒的なオリジナリティと、208億円という巨額の投資によって裏付けられた技術的優位性をもって、「我々は単なる模倣企業ではない」と世界に証明しようとしているのです。
細部に宿るデザイン哲学とこだわり
模倣と批判されるデザインの中にも、Xiaomiならではの哲学が息づいています。例えば、本体の四隅に採用された**「ウルトラエリプティカルRコーナー」**と呼ばれる独自設計のカーブ。これは、手に持った際に角が当たらず、優しくフィットするように人間工学に基づいて緻密に計算されたものです。
また、標準モデルのディスプレイでは、わずか1.18mmという極細のベゼル幅を実現。これにより、まるで画面だけが宙に浮いているかのような圧倒的な没入感を生み出しています。
これらの細やかな配慮は、日常的な使い心地に大きく影響する部分です。見た目の第一印象はiPhoneに似ていても、実際に手に取って使い込むことで、Xiaomiならではのこだわりと配慮が感じられるように設計されているのです。
日本での発売はあるのか?今後の市場への影響
現時点(2025年9月25日)で、Xiaomi 17シリーズの日本国内での発売は公式に発表されていません。しかし、これだけのハイスペックなグローバルモデルを、世界有数のスマートフォン市場である日本に投入しないとは考えにくいでしょう。
もし日本で発売されれば、現在のハイエンド市場、特にAndroidスマートフォン市場の勢力図を大きく塗り替える可能性があります。iPhoneからの乗り換えを検討している層や、高性能なAndroidスマートフォンを求める層にとって、Xiaomi 17シリーズは非常に魅力的な選択肢となるはずです。
iPhoneの独壇場とも言える日本の市場に、Xiaomiがどこまで食い込めるのか。今回の炎上騒動は、その壮大な戦いの幕開けを告げる号砲だったのかもしれません。
まとめ
今回レビューしてきたXiaomi 17シリーズと、それにまつわるiPhone 17模倣疑惑、そして炎上騒動。一連の流れを俯瞰すると、Xiaomiの緻密で野心的なブランド戦略が見えてきます。
彼らは、あえて絶対王者であるiPhoneにデザインや名前を「寄せる」ことで、莫大な広告費をかけずして世界中の注目を集めることに成功しました。その過程で生まれる「パクリだ」という批判や炎上すらも、自社の知名度を上げるための燃料として巧みに利用したのです。
しかし、彼らの戦略はそこで終わりません。注目が集まったところで、世界最高峰のプロセッサや、208億円を投じて開発した「Magic Back Screen」という圧倒的なオリジナリティを見せつけ、「我々は単なる模倣品メーカーではない」と強烈にアピールします。
この**「模倣と革新のハイブリッド戦略」**は、賛否両論を呼ぶものであることは間違いありません。しかし、後発メーカーが厳しい市場で生き残り、のし上がっていくための一つの有効な戦術であることもまた事実です。
私たち消費者は、表面的なデザインの類似性や炎上の話題だけで製品を判断するのではなく、その中身にある性能、独自性、そして価格とのバランスを冷静に見極める必要があります。Xiaomi 17シリーズは、そうしたメディアリテラシーを私たちに問いかけてくる、実に興味深く、そして手ごわいスマートフォンだと言えるでしょう。
今後のスマートフォン市場は、Appleと、Xiaomiのような挑戦者たちとの間で、さらに激しい技術開発とマーケティングの競争が繰り広げられていくはずです。一人のガジェット好きとして、この戦いの行く末をこれからも注意深く見守っていきたいと思います。