ガジェット評論家兼コラムニストの二階堂仁です。今回も多く寄せられてる質問にお答えしていきます。
この記事を読んでいる方は、Samsungの次期折りたたみスマートフォン「Galaxy Z Fold 7」の評判、特にネガティブな情報について詳しく知りたいと思っているのではないでしょうか。
過去にGalaxy Z Fold 5を所有し、折り目のシワやOSの使い勝手に馴染めず手放した経験があるとのこと、その気持ちは私もよくわかります。最新モデルへの期待と同時に、また同じ失敗を繰り返したくないという不安がありますよね。

引用 : Samsung HP
この記事を読み終える頃には、Galaxy Z Fold 7が抱える課題や懸念点が明確になり、あなたが今このデバイスを買うべきかどうかの疑問が解決しているはずです。
記事のポイント
- スマホの域を超えた驚異的な価格設定
- 圧倒的な薄さと軽さがもたらした大きな代償
- 賛否両論を呼ぶメインディスプレイの仕様変更
- 折りたたみデバイスは「完成形」かそれとも「過渡期」か

Galaxy Z Fold 7の悪いところ・気になるところ8選
早速ですが、本題に入りましょう。多くのメディアが絶賛の声を送る一方で、Galaxy Z Fold 7には見過ごせない懸念点、いわゆる「悪いところ」がいくつも存在します。私自身、長期的に使用する中で感じたリアルなデメリットを忖度なくお伝えします。
引用 : Samsung HP
異常なまでの価格設定|もはやスマホの域を超えた領域へ
最大の障壁は、やはりその価格です。Galaxy Z Fold 7は、スマートフォンというカテゴリで語るのが適切か疑問に思うほどの高価格帯に設定されています。
モデル | 予想価格(税込) |
---|---|
256GB | 260,000円~ |
512GB | 280,000円~ |
1TB | 320,000円~ |
※上記は正式発表前の予測価格ですが、前モデルの価格設定から大きく逸脱することはないでしょう。
冷静に考えてみてください。30万円という予算があれば、最新のiPhone 16 Pro Maxと、iPad Air、さらにApple Watchまで揃えることができてしまいます。それぞれの用途に特化したデバイスを複数所有する方が、多くの場面で高い生産性と快適性を得られるのは紛れもない事実です。
もちろん、折りたたみディスプレイや最先端のヒンジ機構など、高価になる理由は理解できます。しかし、その技術的コストをユーザーがどこまで許容できるのか。Galaxy Z Fold 7は、その限界点を試しているようにも感じられます。この価格に見合うだけの価値を本当に見出せるのか、購入前に最も慎重に検討すべきポイントです。
折り目のシワは改善されたのか?|永遠の課題という現実
「Galaxy Z Fold 5の折り目が気になって手放した」という経験を持つあなたにとって、最も重要なポイントでしょう。結論から言うと、Galaxy Z Fold 7でも折り目のシワは完全には解消されていません。
確かに、技術は年々進化しています。ヒンジ構造の改良や、より柔軟性の高いUTG(超薄型ガラス)の採用により、前モデルと比較すればシワは浅く、目立ちにくくなっています。しかし、光の当たる角度によっては、ディスプレイ中央に一本の線がはっきりと認識できますし、指でなぞれば明確な凹みを感じます。
日常使用で気になるのか?
正面から動画を観たり、ゲームをプレイしたりしている際には、ほとんど気になりません。人間の目はコンテンツに集中すると、多少の違和感を無視できるようにできています。問題は、画面がオフの時や、白い背景のウェブサイトを斜めから見た時です。未来的なデバイスであるはずなのに、その中心に存在する物理的な“傷”が、所有する喜びを少しずつ削いでいく感覚に陥ることがあります。
「慣れれば気にならなくなる」という意見もありますが、一度気になり始めると、常に意識してしまうのもまた事実。この「永遠の課題」とどう付き合っていくか、覚悟が求められます。
Sペン非対応の衝撃|シリーズのアイデンティティを失う
Galaxy Z Foldシリーズは、Noteシリーズの実質的な後継機として、大画面とSペンによる手書き入力をアイデンティティとしてきました。しかし、前モデルのFold 6に続き、Galaxy Z Fold 7でもSペンは内蔵されていません。
これは、圧倒的な薄型・軽量化を実現するためのトレードオフです。ペンを収納するスペースを削ることで、携帯性を劇的に向上させました。しかし、これによりFoldシリーズが持っていた最大の独自性の一つが失われたことは否定できません。
もちろん、別売りの「S Pen Fold Edition」を使用すれば手書き入力は可能です。しかし、本体と一緒に持ち運ぶには別途ケースが必要になり、せっかくの薄さがスポイルされてしまいます。必要な時にすぐに取り出してメモを取る、というNoteシリーズから続くスマートな体験は、もはや期待できません。アイデアスケッチやPDFへの赤入れといった用途を重視するユーザーにとって、これは致命的なデメリットと言えるでしょう。
メインディスプレイのパンチホールカメラ|前作からの退化?
Galaxy Z Fold 5では、画面下にカメラを隠す「UDC(アンダー・ディスプレイ・カメラ)」が採用され、完全な全画面表示を実現していました。しかし、Galaxy Z Fold 7では、一般的なスマートフォンと同じ「パンチホールカメラ」に逆戻りしています。
これは、スペックと見た目のトレードオフの結果です。UDCは技術的に未熟で、画質が著しく低い(Z Fold 5では400万画素)という欠点がありました。ビデオ会議などでインカメラの画質を重視する声に応え、Z Fold 7では高画質な1000万画素のカメラを採用した結果、パンチホールという形を選ばざるを得なかったのです。
動画視聴時など、コンテンツの表示領域に黒い丸が常に存在することになります。設定でカメラ領域を黒帯で隠すこともできますが、その分表示領域が狭くなります。技術的な進化を期待していたユーザーからすれば、これは「退化」と捉えられても仕方がないでしょう。
カメラの出っ張り|薄型化の大きな代償
Sペンを犠牲にしてまで手に入れた薄さですが、新たな問題を生んでいます。それが、メインカメラの大きな出っ張りです。
Galaxy Z Fold 7は、フラッグシップモデルとして最高峰のカメラ性能を搭載しています。特にメインカメラには2億画素という巨大なセンサーを採用しており、その物理的な大きさから、カメラユニットが本体から大きく突出しています。
これにより、ケースを装着せずにデスクなどの平面に置くと、ガタガタと安定しません。タイピングしようものなら、その揺れは顕著になります。このデバイスのスマートで洗練されたデザイン性を、このカメラの出っ張りが大きく損なっているのは非常に残念なポイントです。結局、このガタつきを解消するためにケースの装着が必須となり、本体の薄さというメリットを十分に活かせないジレンマに陥ります。
限定的な防塵性能|ヒンジ機構が抱える構造的弱点
Galaxy Z Fold 7は、IPX8等級の優れた防水性能を備えています。これにより、雨の中での使用や、誤って水に濡らしてしまった場合でも安心です。しかし、一方で防塵性能については保証されていません。
折りたたみ構造の心臓部であるヒンジは、非常に精密で複雑な機構を持っています。内部には微細なゴミやホコリの侵入を防ぐためのブラシが内蔵されていますが、完璧ではありません。特に、砂浜や工事現場のような粉塵が多い環境での使用は、ヒンジの故障に直結するリスクを伴います。
日常的にポケットに入れて持ち運ぶだけでも、内部にホコリは蓄積していきます。長期的に使用していく上で、ヒンジの動きが渋くなったり、異音が発生したりする可能性は、一般的なスマートフォンよりも格段に高いと言わざるを得ません。高価なデバイスだからこそ、この構造的な弱点は常に意識しておく必要があります。
Android OSへの懸念|iPhoneユーザーが感じる高い壁
あなたが過去に感じたように、長年iPhone(iOS)に慣れ親しんだユーザーにとって、Android OS、特にSamsungがカスタマイズした「One UI」は、独特の操作性が壁となることがあります。
設定項目の多さや自由度の高さは、使いこなせれば強力な武器になりますが、シンプルさを求めるユーザーにとっては複雑で分かりにくいと感じるでしょう。また、一部のアプリは大画面に最適化されておらず、表示が崩れたり、引き伸ばされただけのレイアウトになったりすることもあります。
もちろん、One UIは年々洗練されており、大画面を活かすマルチタスク機能などはiOSにはない魅力です。しかし、根本的な操作思想の違いは依然として存在します。購入後に「やっぱり合わなかった」と後悔しないためにも、可能であれば店頭などで長時間触れてみて、その操作性に順応できるかを見極めることが重要です。
バッテリー持ちは十分か?|大画面と高性能の宿命
Galaxy Z Fold 7は、2つのディスプレイと最新の高性能チップセットを搭載しており、バッテリー消費は非常に激しいです。物理的な制約から、搭載できるバッテリー容量には限界があります(推定4400mAh前後)。
一般的な使い方、例えばウェブブラウジングやSNSのチェックが中心であれば、1日持つかもしれません。しかし、メインディスプレイで長時間動画を観たり、高負荷な3Dゲームをプレイしたりすると、夕方にはバッテリー残量が心許なくなる場面が多々あります。
特に外出先でPCライクに活用しようと考えている場合、モバイルバッテリーは必須アイテムとなるでしょう。デバイス1台で全てを完結させたいというコンセプトとは裏腹に、結局は周辺機器に頼らざるを得ないという矛盾を抱えています。
それでもGalaxy Z Fold 7が魅力的な理由
ここまで厳しい意見を述べてきましたが、もちろんGalaxy Z Fold 7は欠点ばかりのデバイスではありません。むしろ、それらのデメリットを許容できるのであれば、他のどのスマートフォンでも得られない唯一無二の体験を提供してくれます。

引用 : Samsung HP
全てを過去にする圧倒的な薄さと軽さ
欠点としてSペンの廃止やカメラの出っ張りを挙げましたが、その代わりに手に入れた「薄さ」と「軽さ」は驚異的です。
モデル | 重量 | 厚み(開いた状態) | 厚み(閉じた状態) |
---|---|---|---|
Galaxy Z Fold 7 (予測) | 約235g | 約5.5mm | 約11.9mm |
Galaxy Z Fold 5 | 253g | 6.1mm | 13.4mm |
Google Pixel Fold | 283g | 5.8mm | 12.1mm |
iPhone 15 Pro Max | 221g | 8.25mm | 8.25mm |
一般的なハイエンドスマートフォン(iPhone 15 Pro Max)と比べても遜色ないレベルまで軽量化され、ポケットやバッグに入れた際の負担が劇的に軽減されました。特に開いた時の5.5mmという薄さは、まるで未来のデバイスを手にしているかのような感覚を味わえます。この携帯性の向上は、日常的に大画面を持ち歩くという行為のハードルを大きく下げてくれました。
折りたたみスマホ史上最高峰のカメラ性能
カメラの出っ張りは気になりますが、その性能は間違いなく一級品です。メインカメラに搭載された2億画素のセンサーは、圧倒的な解像感をもたらします。撮影した写真を後からトリミングしても画質の劣化が少なく、まるで望遠レンズで撮影したかのようなクローズアップが可能です。
また、折りたたみ構造を活かした「フレックスモード」での撮影は非常にユニークです。本体をL字型に折り曲げることで、三脚がなくても安定したアングルでの長時間露光やタイムラプス撮影、ローアングルからの迫力あるショットが手軽に楽しめます。この自由な撮影スタイルは、一般的なスマートフォンにはない大きな魅力です。
PCいらず?進化した「DeXモード」の可能性
Galaxy Z Fold 7の真価は、スマートフォンとしてだけでなく、ポータブルPCとしても機能する点にあります。USB-Cケーブル1本で外部モニターに接続するだけで、デスクトップPCのようなユーザーインターフェース「DeXモード」が起動します。
ウィンドウの複数表示、マウスやキーボードによる快適な操作、ファイル管理など、その操作感はもはやPCそのもの。外出先で少し凝った資料作成や長文のメール返信が必要になった際も、Galaxy Z Fold 7さえあれば対応できます。この「どこでも書斎」を実現できるポテンシャルは、ビジネスパーソンにとって非常に強力な武器となるでしょう。
大画面を活かす究極のマルチタスク性能
これこそがFoldシリーズの真骨頂です。最大3つのアプリを同時に画面分割表示できる機能は、情報収集とアウトプットを並行して行う作業において、圧倒的な効率を発揮します。
例えば、
- 左画面で参考資料のウェブサイトを表示し、右画面でメモアプリに要点をまとめる
- 上画面でオンライン会議に参加し、下画面で議事録を取る
- 左画面で株価チャートを表示し、右画面で取引アプリを操作する
といった使い方が可能です。一度この快適さを体験すると、もはや通常のスマートフォンのシングルタスク環境には戻れなくなるほどのインパクトがあります。
所有欲を満たす洗練されたデザインと質感
細かい欠点を指摘してきましたが、それでもなお、Galaxy Z Fold 7が放つプロダクトとしての魅力は絶大です。精密に加工されたチタンフレーム(の採用が噂されています)や、滑らかなヒンジの開閉動作、そして何より大画面を折りたたむというギミックは、ガジェット好きの心を鷲掴みにします。

引用 : Samsung HP
ただの道具としてだけでなく、持つ喜び、使う喜びを感じさせてくれる。カフェでさっと取り出して開けば、周囲の視線を集めること間違いなしです。こうした所有欲を満たしてくれる点も、高価なデバイスを選ぶ上での重要な要素と言えるでしょう。
カバーディスプレイの進化|閉じたままでも快適に
初期のFoldシリーズは、閉じた状態のカバーディスプレイが細長く、文字入力などがしづらいという欠点がありました。しかし、モデルチェンジを重ねるごとにアスペクト比が改善され、Galaxy Z Fold 7では、一般的なスマートフォンとほぼ変わらない感覚で操作できるようになっています。
これにより、SNSのチェックや簡単な返信など、ほとんどの操作は閉じたまま完結できます。そして、じっくりと動画を観たい時や、本格的な作業をしたい時だけ開く、というスマートな使い分けが可能になりました。日常的な使い勝手が大きく向上した点は、高く評価すべきポイントです。
まとめ|Galaxy Z Fold 7は「買い」なのか?
さて、長々と解説してきましたが、結論としてGalaxy Z Fold 7は「買い」なのでしょうか。これは、あなたがスマートフォンに何を求めるかによって、答えが大きく変わってきます。

引用 : Samsung HP
Galaxy Z Fold 7を強くおすすめできる人
- 最先端の技術に投資を惜しまないアーリーアダプター
- 価格よりも、誰も持っていないデバイスを体験することに価値を感じる。
- 1台でスマホとタブレットを完結させたいミニマリスト
- 荷物を極限まで減らし、スマートなライフスタイルを追求している。
- マルチタスクを多用するビジネスパーソンやクリエイター
- 外出先での生産性を極限まで高めたいと考えている。
Galaxy Z Fold 7をおすすめしない人
- コストパフォーマンスを最も重視する人
- 同じ価格でより多くの機能や性能を持つデバイスの組み合わせを好む。
- スマホの耐久性や堅牢性を最優先する人
- アウトドアなど、タフな環境でスマートフォンを使用する機会が多い。
- Sペンによる手書き入力を多用したい人
- Noteシリーズのような、ペン内蔵の利便性を求めている。
- シンプルで直感的な操作性を求めるiPhoneユーザー
- 新しいOSの学習コストをかけたくないと考えている。
過去にFold 5で後悔したあなたへ
最後に、過去の経験から購入を躊躇しているあなたへのアドバイスです。
あなたが懸念している**「折り目のシワ」と「Android OSの使い勝手」**という2つの問題は、残念ながらGalaxy Z Fold 7でも完全には解決されていません。シワは依然として存在し、OSの根本的な思想もiOSとは異なります。
しかし、それ以外の部分は劇的に進化しています。特に**「圧倒的な薄さと軽さ」による携帯性の向上と、「カバーディスプレイの使いやすさ」**は、Fold 5の時代とは別次元の快適さを提供してくれるでしょう。
私の最終的な意見としては、「即決はせず、まずは必ず実機に触れてから判断すべき」です。家電量販店などで、できるだけ長い時間、様々な操作を試してみてください。その上で、残された欠点を許容してでも、このデバイスがもたらす未来的な体験に投資したいと思えるかどうか。それが、あなたの答えになるはずです。
そして、もう一つの選択肢として、数年後に登場するであろう「三つ折り」や「ローラブル」といった、さらに次世代のデバイスを待つというのも賢明な判断かもしれません。
私自身は、ジャーナリストという立場上、この進化を見届けるために入手しますが、もしプライベートで一台を選ぶなら、まだ完成形とは言えないこのデバイスに30万円近くを投じるか、熟考するでしょう。
あなたのスマートフォン選びにとって、このレビューが少しでも参考になれば幸いです。