ガジェット評論家兼コラムニストの二階堂仁です。今回も多く寄せられてる質問にお答えしていきます。
この記事を読んでいる方は、待望のAirPods Pro 3を手に入れた、あるいは購入を検討している中で、「イヤーチップが交換時に千切れる」という気になる噂を耳にして不安に思っているのではないでしょうか。

引用 : Apple HP
私も実際にAirPods Pro 3のイヤーチップ交換でヒヤリとした経験、いや、正直に言うと見事に千切ってしまった経験があるので、その気持ちは痛いほどよくわかります。最新ガジェットへの期待が、思わぬトラブルへの不安に変わってしまうのは避けたいですよね。
この記事を読み終える頃には、AirPods Pro 3のイヤーチップ問題に関するあなたの疑問や不安が、確かな知識と具体的な対策に変わっているはずです。
記事のポイント
- AirPods Pro 3イヤーチップが千切れる問題の真相
- イヤーチップを安全に取り外すための具体的な手順
- AirPods Pro 3の音質やノイキャンの飛躍的な進化
- AirPods Pro 2からの買い替えは本当に必要か徹底考察

AirPods pro3の取り扱いの注意点|イヤーチップが千切れる問題の真相
待望のAirPods Pro 3を手にした多くのユーザーが、その素晴らしい性能に感動する一方で、一部でささやかれ始めたのが「イヤーチップが本体から外れにくく、無理に引っ張ると千切れてしまう」という問題です。

引用 : Apple HP
私自身も、これまで数えきれないほどのイヤホンをレビューしてきましたが、イヤーチップを千切ってしまったのは今回が初めての経験でした。このセクションでは、多くのユーザーが最も懸念しているこの問題に焦点を当て、その原因から具体的な対策、そして万が一の際の対処法まで、徹底的に掘り下げて解説していきます。
AirPods pro3のイヤーチップが千切れるという衝撃の報告
SNSやレビューサイトを覗くと、「イヤーチップを交換しようとしたら、シリコン部分が裂けてしまった」「根本からちぎれて、イヤホン本体に白いパーツだけが残った」といった報告が散見されます。これは単なる噂ではなく、実際に複数のユーザーが経験している事象です。
私の場合もそうでした。LサイズのイヤーチップをMサイズに交換しようとした際、これまでのAirPods Proと同じ感覚でイヤーチップをつまんで引っ張ったところ、想像以上の抵抗感がありました。「おや?」と思い、少し力を込めた瞬間、ブチッという嫌な感触と共に、イヤーチップの傘の部分が見事に裂けてしまったのです。残されたのは、イヤホン本体のノズル部分に固く食い込んだ白いプラスチックの基部だけ。これには正直、かなり焦りました。
これまで数々のイヤホンを扱ってきましたが、このような経験は初めてです。この問題は、単に「力が強すぎた」という個人の問題ではなく、製品の構造的な変更に起因する可能性が高いと考えられます。
なぜAirPods pro3のイヤーチップは外れにくいのか?構造上の変化を解説
では、なぜAirPods Pro 3のイヤーチップはこれほどまでに外れにくいのでしょうか。その答えは、イヤホン本体のノズル(音が出る部分)と、イヤーチップの取り付け部分の構造変化にあります。
AirPods Pro(第2世代)までのモデルは、比較的平たく楕円形のノズル形状をしていました。イヤーチップは、このノズルに「パチン」と浅くはめ込むようなシンプルな構造でした。
ところが、AirPods Pro 3ではノズルの形状が大きく変更されています。より高さのある、一般的なカナル型イヤホンに近い円筒形のノズルになりました。そして、イヤーチップ側もこの新しいノズル形状に合わせて、内側のプラスチック部分の設計が変更されています。新しい設計では、ノズルにある溝とイヤーチップ側の爪がより深く、そして強固に噛み合うようになっているのです。
この変更の目的は、おそらく装着時の安定性向上と、より確実な密閉による遮音性およびノイズキャンセリング性能の最大化にあると推測されます。しかし、その弊害として、取り外す際に非常に大きな力が必要となり、結果的にシリコン部分に過度な負荷がかかって破損につながるケースが生まれてしまったのです。特に、イヤーチップのシリコン部分は非常に薄く柔らかく作られているため、構造的に強固になったプラスチック部分とのアンバランスが、この「千切れる」問題の根本的な原因と言えるでしょう。
私が実践するAirPods pro3イヤーチップの安全な取り外し方
この苦い経験から、私はAirPods Pro 3のイヤーチップを安全に取り外すための独自の方法を編み出しました。乱暴に力を加えるのではなく、コツさえ掴めば誰でも安全に取り外すことが可能です。
準備するもの
- 清潔で乾いた指
- 必要であれば、滑り止めの効果がある薄い布や指サック
安全な取り外し手順
- イヤーチップの根本をしっかり掴む: これが最も重要なポイントです。薄いシリコンの傘の部分をつまむのではなく、イヤーチップの根元、つまり白いプラスチック部分にできるだけ近いシリコン部分を、親指と人差し指でしっかりと掴みます。傘の部分をめくり上げるようにして、根本を露出させると掴みやすくなります。
- 「引っ張る」のではなく「剥がす」意識で: 次に、垂直に力強く引っ張るのではなく、片方の縁から「ペリペリ」と剥がしていくようなイメージで、左右に少しずつ揺さぶりながら力を加えます。
- じわじわと力を加える: 焦りは禁物です。一気に力を加えるのではなく、じわーっと断続的に力を加えていきます。すると、ある瞬間に「カチッ」という小さな音と共に、爪の勘合が外れる感触があります。
- ゆっくりと引き抜く: 勘合が外れたら、あとはスムーズに引き抜くことができます。
この方法を試してからは、一度もイヤーチップを破損させていません。ポイントは**「シリコンの傘ではなく、硬い根本を掴むこと」、そして「垂直に引っ張るのではなく、揺さぶるように剥がすこと」**です。
イヤーチップの個体差問題|左右で硬さが違うケースも
さらにこの問題を複雑にしているのが、「個体差」の存在です。私が最初に千切ってしまったL側のイヤーチップは異常なほど硬かったのですが、試しにR側の同じサイズのイヤーチップを外してみたところ、こちらは比較的スムーズに外すことができました。
これは私だけの経験ではなく、他のユーザーからも「片方はすんなり外れたのに、もう片方は全然外れない」といった声が上がっています。この個体差の原因は明確ではありませんが、製造上のわずかな寸法のばらつきや、プラスチック部品の成形時のコンディションなどが影響している可能性があります。
このことから言えるのは、「片方が簡単に外れたからといって、もう片方も同じように外れるとは限らない」ということです。イヤーチップを交換する際は、必ず左右それぞれで慎重に作業を行う必要があります。
もしAirPods pro3のイヤーチップが千切れてしまった場合の対処法
細心の注意を払っていても、不運にもイヤーチップが千切れてしまう可能性はゼロではありません。もしイヤホン本体にイヤーチップの基部が残ってしまった場合でも、慌てずに対処しましょう。
- 状況の確認: まず、どこで破損したかを確認します。シリコンの傘だけが破れ、白いプラスチック部分が残っている状態がほとんどです。
- 残ったパーツの除去: 残された白いプラスチック部分は、指の爪や、先端が鋭利でないプラスチック製のピンセットなどで慎重に取り外します。この際、イヤホン本体のノズルやメッシュ部分を傷つけないように、細心の注意を払ってください。金属製の工具は本体を傷つけるリスクが高いので、絶対に使用しないでください。
- 新しいイヤーチップの購入: 破損したイヤーチップは再利用できません。Apple StoreオンラインやApple Store直営店で、交換用の純正イヤーチップを購入する必要があります。AirPods Pro 3用は、2セット(4個)入りで販売されています。
- Appleサポートへの相談: どうしても自力で取り外せない場合や、取り外しの際に本体を傷つけてしまった可能性がある場合は、無理をせずAppleサポートに連絡しましょう。保証期間内であれば、無償で対応してもらえる可能性があります。
AirPods pro3の新しいイヤーチップ構造|フォーム材内蔵の真相
そもそも、今回のイヤーチップはデザイン自体も進化しています。Appleの公式情報では「柔らかいフォーム剤が中に入っている」と記載されており、多くのユーザーはSONYのWF-1000Xシリーズのような、低反発ウレタンフォーム製のイヤーチップを想像していました。
しかし、実際に製品を手に取ると、見た目は従来のシリコン製イヤーチップとほとんど変わりません。非常に薄いシリコンの傘で覆われており、中にフォーム材が入っているとはにわかに信じがたいほどです。
比較してみると、確かに従来のイヤーチップよりは少しクッション性があるかな、という程度で、言われなければ気づかないレベルかもしれません。この内部のフォーム材は、装着時の快適性向上と、より高い遮音性を実現するために追加されたものと考えられます。この微細な構造変化も、イヤーチップ全体の剛性に影響を与え、取り外しにくさの一因となっている可能性があります。
AirPods pro3とPro2のイヤーチップに互換性はあるのか?
ノズルの形状が大きく変更されたため、残念ながらAirPods Pro 3とAirPods Pro 2(および初代)のイヤーチップに互換性はありません。
AirPods Pro 2のイヤーチップをPro 3に取り付けようとしても、カチッとはまらず、すぐに外れてしまいます。逆もまた然りで、Pro 3のイヤーチップをPro 2に取り付けることもできません。
これは非常に重要なポイントです。過去のモデルで愛用していた社外製のイヤーチップや、予備でストックしていた純正イヤーチップは、AirPods Pro 3では一切使用できないのです。イヤーチップを交換する場合は、必ず「AirPods Pro 3専用」の製品を選ぶ必要があります。
AirPods pro3におすすめの社外製イヤーチップはまだ存在しない?今後の展望
純正イヤーチップのフィット感に満足できないユーザーにとって、社外製イヤーチップの存在は非常に重要です。しかし、2025年9月現在、AirPods Pro 3の特殊なノズル形状に対応した高品質な社外製イヤーチップは、まだ市場にほとんど出回っていません。
AZLA、COMPLY、SpinFitといった主要なイヤーチップメーカーも、現時点では開発中、あるいは発売時期が未定という状況です。ノズルの形状が独自であるため、開発には相応の時間がかかると予想されます。
当面の間は、付属の純正イヤーチップ(XXS、XS、S、M、Lの5サイズ)の中から、自分の耳に最もフィットするものを見つけて使用するのが最善策となります。今後の社外製イヤーチップの登場に期待しつつ、まずは純正品を正しく、そして安全に取り扱う知識を身につけておくことが重要です。
AirPods pro3の進化を徹底レビュー|Pro2からの乗り換えはアリ?
イヤーチップの問題は確かに気になりますが、それを補って余りあるほど、AirPods Pro 3は多くの面で目覚ましい進化を遂げています。音質、ノイズキャンセリング、外音取り込み機能など、あらゆる点で前モデルを凌駕する性能を秘めています。

引用 : Apple HP
このセクションでは、AirPods Pro 2ユーザーが最も気になるであろう「買い換える価値があるのか?」という問いに答えるべく、具体的な進化のポイントを詳細にレビューしていきます。
AirPods pro3のデザイン変更点|ケースと本体を徹底比較
一見すると、AirPods Pro 3のデザインは前モデルとほとんど変わらないように見えます。しかし、細部を比較すると、機能性の向上を目的としたいくつかの重要な変更点が見えてきます。
ケースの変更点
- サイズの微増と軽量化: ケースはPro 2に比べてわずかに大きく、厚みも増しています。しかし、驚くべきことに重量は50.8gから43.9gへと軽量化されています。この軽量化が後の再生時間の項目で少し謎を生むのですが、携帯性という点では確実に向上しています。
- 物理ボタンの廃止: Pro 2の背面に存在したペアリング用の物理ボタンが廃止されました。初回ペアリングはケースを開けるだけで完了しますが、手動でペアリングモードにする場合は、蓋を開けた状態でケース正面を2回タップする必要があります。これは直感的ではないため、慣れが必要です。
- USB-Cポートの採用: ついに充電ポートがLightningからUSB-Cに変更されました。これにより、MacBookやiPadと充電ケーブルを統一でき、多くのユーザーにとって利便性が大幅に向上します。
イヤホン本体の変更点
- ノズル角度の変更: イヤホン本体を上から見ると、ノズルの角度がより内側に変更されているのがわかります。これにより、耳の奥へと自然に収まり、装着時の安定感が向上しています。
- スティック部分の延長: よく見ると、スティック(軸)部分がわずかに長くなっています。操作性やマイク性能への影響も考えられる設計変更です。
- 心拍センサーの追加: イヤホン内側に、新たに心拍センサーが搭載されました。これにより、Apple Watchがなくてもワークアウト中の心拍数などを計測できるようになります。
これらの変更は、いずれも使い勝手と機能性を向上させるためのものですが、特にペアリングボタンの廃止は、初めて使うユーザーを戸惑わせる可能性があるため注意が必要です。
装着感の進化|より奥でフィットする安定感と注意点
ノズルの角度と長さが変更されたことで、AirPods Pro 3の装着感はPro 2とは明確に異なります。
Pro 2が耳の入り口付近で軽くフィットする感覚だったのに対し、Pro 3は耳のより奥深くでしっかりと固定される感覚が強くなっています。これにより、ランニングなどの激しい運動中でもイヤホンがずれにくく、非常に高い安定感を得られます。
また、耳の奥で密閉されることで、物理的な遮音性(パッシブノイズキャンセリング)が向上し、後述するアクティブノイズキャンセリングの効果を最大限に引き出すことにも貢献しています。
ただし、この「奥でフィットする」感覚は、好みが分かれるポイントでもあります。耳の奥に異物が入る感覚が苦手な方や、耳の形状によっては、Pro 2の軽い装着感の方が快適に感じる可能性もあります。こればかりは実際に試着してみないとわからないため、購入前にApple Storeなどで試すことを強くお勧めします。
飛躍的に進化したAirPods pro3の音質|低音と高音の変化
音質は、AirPods Pro 3が最も進化したと感じるポイントの一つです。Pro 2もバランスの取れた良い音でしたが、Pro 3はそれを遥かに超える、音楽を聴くのが楽しくなるようなサウンドに生まれ変わっています。
深みと躍動感を増した低音
Pro 2の低音は、やや平面的で迫力に欠ける印象がありました。しかしPro 3では、より深く、輪郭のハッキリとした低音が響きます。バスドラムのアタック感や、ベースラインのうねりがリアルに感じられ、楽曲全体に躍動感を与えてくれます。それでいて、不自然に膨らんで中高音域を邪魔するようなことがない、絶妙なチューニングが施されています。
キラびやかさと滑らかさを両立した高音
最も注目すべきは高音域の進化です。Pro 2では時折感じられた、シンバル系の音のわずかなざらつきや荒っぽさが完全に解消されました。Pro 3の高音は、キラキラとした鮮やかさと、どこまでも滑らかな聞き心地を両立しています。これにより、ボーカルの息遣いや弦楽器の倍音成分がより美しく再現され、音の広がりや解像度が格段に向上したように感じられます。
中音域(ボーカルなど)はPro 2の良さを引き継ぎつつ、低音と高音の進化によって、全体として非常にバランスが良く、かつ表現力豊かなサウンドステージを実現しています。Pro 2の音質が1万円台後半クラスだとすれば、Pro 3は2万円台後半から3万円台の高級イヤホンに匹敵するクオリティに達したと言えるでしょう。
項目 | AirPods Pro 2 | AirPods Pro 3 |
---|---|---|
低音 | 平面的でやや控えめ | 深みと躍動感があり、輪郭が明確 |
中音 | クリアでバランスが良い | バランスの良さを維持しつつ、より自然に |
高音 | 時にざらつきを感じる | 鮮やかで滑らか、伸びやか |
全体 | モニターライクな優等生サウンド | 音楽的でリスニングが楽しいサウンド |
「2倍」は本当?AirPods pro3のノイズキャンセリング性能を正直に評価
Appleは「AirPods Pro 2と比較して最大2倍のアクティブノイズキャンセリング性能」と謳っています。この「2倍」という数字に期待して購入を検討している方も多いでしょう。
結論から言うと、体感で2倍の静寂性が得られるわけではありません。 私の感覚では、1.3倍から1.4倍程度の向上といったところです。
この「最大2倍」という表記は、おそらく特定の周波数帯域において、ピンポイントで2倍のノイズ除去性能を発揮するという意味だと考えられます。しかし、私たちが日常で遭遇する騒音(電車の走行音、カフェの話し声、エアコンの動作音など)は、様々な周波数の音が混ざり合ったものです。そのため、全体的なノイズの低減量として「2倍」を感じることは非常に難しいのです。
とはいえ、性能が向上していることは間違いありません。特に、Pro 2がやや苦手としていた人の話し声やキーボードのタイプ音といった中高音域のノイズ除去能力が明らかに向上しています。カフェやオフィスでの集中したい場面で、その進化を最も強く感じることができるでしょう。低音域のノイズ除去も順当に強化されており、総合的なノイズキャンセリング性能は、業界トップクラスであるBoseやSONYの最新モデルと肩を並べる、あるいはシーンによってはそれらを上回るレベルに達しています。
異次元レベルに達したAirPods pro3の外音取り込み機能
ノイズキャンセリング性能の向上もさることながら、私が最も衝撃を受けたのは外音取り込み機能の進化です。
AirPods Pro 2の時点でも、その自然さは他社製品の追随を許さないレベルでしたが、Pro 3はもはや「イヤホンをしていないのと同じ」と言い切ってしまっても過言ではないレベルに到達しています。
特に、人の声のクリアさが驚異的です。Pro 2ではまだわずかに感じられた、マイクを通して聞いているようなデジタル感がほぼ皆無になり、まるで自分の耳で直接聞いているかのように、相手の声が自然に聞こえます。イヤホンを装着したままレジで会計をしたり、同僚と会話をしたりする際に、一切のストレスを感じません。
この機能だけでも、日常的にイヤホンをつけっぱなしで生活するスタイルの方にとっては、買い換える十分な理由になるほどの完成度です。
AirPods pro3の再生時間の謎|ケース込みで短くなった理由を考察
機能が向上する一方で、少し不可解な点もあります。それが再生時間です。
- イヤホン単体: 最大6時間 → 最大8時間(2時間延長)
- ケース込み: 最大30時間 → 最大24時間(6時間短縮)
イヤホン単体の再生時間が延びたのは、新しいH3チップの省電力性能の向上によるものでしょう。これは素直に嬉しい進化です。しかし、なぜケース込みの総再生時間は短くなってしまったのでしょうか。
前述の通り、ケース自体はわずかに大型化しつつも、軽量化されています。このことから推測されるのは、ケースに搭載されているバッテリーの容量が、Pro 2よりも小さくなった可能性です。
Appleがなぜこのような仕様変更に踏み切ったのか。考えられる理由はいくつかあります。
- 軽量化の優先: ユーザーからのフィードバックで、携帯性を重視する声が大きかったのかもしれません。
- コスト削減: バッテリー容量を減らすことで、製造コストを抑える狙いがあった可能性。
- 内部スペースの確保: USB-Cポートや新しい内部構造のために、バッテリースペースを犠牲にせざるを得なかった可能性。
理由はどうあれ、Pro 2よりも充電する頻度が少し高くなることは間違いありません。日々の使い方にもよりますが、この点は購入前に把握しておくべきデメリットと言えるでしょう。
AirPods pro3の新機能|心拍センサーと防水性能の強化
AirPods Pro 3は、単なるオーディオデバイスに留まらない進化も遂げています。
心拍センサー
イヤホン本体に搭載された心拍センサーにより、iPhoneのフィットネスアプリと連携して、ワークアウト中の心拍数をトラッキングできます。Apple Watchを所有していないユーザーでも、ランニングやトレーニングの効果をより正確に把握できるようになります。センサーの精度も高く、スマートウォッチと遜色ないレベルで計測できていることを確認しました。
防水・防塵性能の向上
防水防塵性能が、Pro 2のIP54からIP57に向上しました。
- 「5」:防塵性能(有害な影響が発生しないレベルの保護)
- 「7」:防水性能(水深1mに30分間沈めても有害な影響を受けない)
これにより、汗や雨に対する耐性が大幅に向上し、汚れた際には水道水でさっと洗い流すことも可能になりました。フィットネスシーンでの利用や、突然の雨でも安心して使えるようになったのは、大きなメリットです。
AirPods pro3の通話品質は向上したか?Pro2との比較テスト
リモートワークなどで通話機能を使う機会も多いでしょう。通話品質に関しては、Pro 2とPro 3で劇的な差は感じられませんでした。
どちらのモデルも、周囲の騒音を効果的に抑制し、自分の声をクリアに相手に届ける「声を分離」モードを備えており、非常に高いレベルにあります。騒がしい道路沿いでテストした際も、Pro 3の方がわずかにノイズ除去が強力かな?と感じる程度で、大きな優位性はありませんでした。
Pro 2の通話品質に満足しているのであれば、Pro 3に買い換えても大きな感動はないかもしれません。ただし、元々のレベルが非常に高いため、どんな環境でも安心して通話できる品質であることは間違いありません。
まとめ
さて、今回はAirPods Pro 3の取り扱いの注意点、特に多くの人が不安に感じている「イヤーチップが千切れる問題」を中心に、その全体像を徹底的にレビューしてきました。
イヤーチップの問題は、構造上の変更に起因するものであり、取り外す際には**「根本をしっかり掴み、揺するように剥がす」**というコツが必要です。この点さえ押さえれば、破損のリスクは大幅に減らすことができます。万が一破損してしまった場合の対処法も覚えておけば、過度に恐れる必要はありません。
そして、その注意点を差し引いても、AirPods Pro 3は非常に魅力的な製品です。特に、音楽に深く没入できるようになった高音質と、もはや現実と区別がつかないレベルに達した外音取り込み機能は、Pro 2ユーザーであっても買い換える価値を十分に感じさせてくれるでしょう。
では、最終的にどのような人が買い換えるべきなのでしょうか。
【AirPods Pro 3への買い替えを強く推奨する人】
- 音質にこだわりがあり、より良いサウンドで音楽を楽しみたい人
- 外音取り込み機能を多用し、イヤホンをつけたまま会話することが多い人
- ノイズキャンセリング性能、特に人の声のカットを重視する人
- Apple Watchなしで心拍数を計測したい人
- 現在使っているAirPods Proのバッテリーが劣化している人
【AirPods Pro 2のままでも十分な人】
- 現在の音質やノイズキャンセリング性能に大きな不満がない人
- ケース込みの再生時間が短くなるのが気になる人
- 軽い装着感が好みで、耳の奥に入れるタイプが苦手な人
私個人の結論としては、AirPods Pro 3は「正常進化」という言葉では物足りないほどの「飛躍」を遂げたモデルだと感じています。日々の音楽体験やコミュニケーションの質を確実に一段階引き上げてくれる、投資する価値のある逸品です。このレビューが、あなたの最適な選択の助けとなれば幸いです。