ガジェット評論家兼コラムニストの二階堂仁です。今回も多く寄せられてる質問にお答えしていきます。
この記事を読んでいる方は、発表されたばかりのiPhone 17シリーズ、特にその中でもデザインで注目を集める「iPhone Air」の購入を検討しつつも、ネット上で囁かれるネガティブな評判が気になっているのではないでしょうか。
私も発表会でその美しいデザインを見た瞬間に予約を決意した一人なので、高額な買い物だからこそ、事前に欠点を知っておきたいというその慎重な気持ちは痛いほどよくわかります。

引用 : Apple HP
この記事を読み終える頃には、iPhone Airにまつわる様々な疑問や不安が解消され、ご自身にとって最適な選択ができるようになっているはずです。
記事のポイント
- iPhone Airのダメな点と炎上理由
- モノラルスピーカーの実力と懸念
- チタン素材による発熱問題の真相
- 他モデルとの徹底スペック比較

iPhone Airの購入を躊躇させる8つのダメな点
発表会での華々しいデビューから一転、現在ネット上ではiPhone Airに対する厳しい意見が飛び交い、一種のプチ炎上状態となっています。かくいう私も、その美しいデザインに惚れ込み、発表と同時に予約を入れた一人ではありますが、もちろん皆さんが懸念しているポイントは全て把握しています。

引用 : Apple HP
ここでは、なぜiPhone Airが「期待外れ」や「がっかり」と言われてしまっているのか、購入を躊躇させる主な「ダメな点」を8つのポイントに絞って、忖度なく徹底的に解説していきます。
①【最大のネック】令和の時代にまさかのモノラルスピーカー
iPhone Airが最も批判を浴びている最大の要因、それは間違いなく「モノラルスピーカー」の採用です。iPhone 17やProモデルが当然のようにステレオスピーカーを搭載している中で、なぜ高価なAirモデルがモノラルなのか。多くのユーザーがこの点に疑問と不満を抱いています。
過去への逆行?iPhoneスピーカーの歴史
少し歴史を振り返ると、iPhoneがステレオスピーカーを搭載したのは2016年発売のiPhone 7からです。それ以降、実に9年近くもの間、iPhoneはリッチなステレオサウンドを提供し続けてきました。動画視聴や音楽鑑賞、ゲームプレイにおいて、左右から広がる臨場感あふれるサウンドは、もはや「当たり前」の体験となっています。
それにも関わらず、iPhone Airでは底面のスピーカーグリルが廃止され、受話口(レシーバー)部分のスピーカーのみで音を出す仕様へと変更されました。これは技術的な退化と言われても仕方がなく、「この価格帯でモノラルはない」「9年前のiPhoneに劣るのか」といった厳しい声が上がるのも当然と言えるでしょう。
実際の使用感への影響は?
では、実際にモノラルスピーカーはどれほど体験を損なうのでしょうか。 横画面で動画や映画を視聴する際、音の出どころが片方に偏るため、没入感が大きく削がれてしまいます。例えば、映画で車が右から左へ走り抜けるシーンがあっても、その移動感を音で感じることはできません。ゲームにおいても、敵の足音や銃声の方向が掴みにくくなるなど、プレイに支障をきたす可能性も考えられます。
もちろん、普段からAirPodsなどのワイヤレスイヤホンやヘッドホンを主に使用するユーザーにとっては、本体スピーカーの仕様は些細な問題かもしれません。しかし、イヤホンを外して手軽に動画を楽しみたい時、家族や友人と画面を共有したい時など、本体スピーカーが活躍する場面は意外と多いものです。その「当たり前」の体験が損なわれる可能性があることは、購入前に必ず認識しておくべき最大の注意点です。
② チタン素材とA19 Proチップが引き起こす発熱の懸念
iPhone Airのもう一つの大きな懸念点が「発熱」です。これは、採用されている「チタン素材」と、搭載されている最新チップ「A19 Pro」の組み合わせに起因します。

引用 : Apple HP
Proモデルが捨てたチタンをなぜ採用?
iPhone 17 Proシリーズは、前モデルの16 Proで問題視された発熱を理由に、一度採用したチタン素材からアルミニウム素材へと回帰しました。チタンは強度が高い一方で、熱伝導率が低く、一度熱を帯びると熱が内部にこもりやすいという特性があります。
にもかかわらず、iPhone Airでは薄さと強度を両立させるために、このチタン素材が採用されました。さらに、心臓部にはProモデルと同等の性能を持つ「A19 Proチップ」が搭載されています。高い処理能力を持つチップは、それだけ発熱量も大きくなる傾向にあります。
つまり、iPhone Airは「熱を持ちやすいチップ」を「熱がこもりやすい筐体」で覆っている構造になっており、「過去のProモデル以上に熱くなるのではないか」という懸念が生まれているのです。
低温やけどのリスクも
私自身、過去にiPhone 15 Proをポケットに入れていた際、太ももにiPhoneの形の跡が残るほどの低温やけどを経験したことがあります。iPhone 16 Proでは改善されたものの、望遠レンズを使った高負荷な撮影時にはかなりの熱を持ちました。
iPhone Airには望遠レンズはありませんが、高画質な動画撮影や最新の3Dゲームなどを長時間プレイすれば、かなりの高温になる可能性があります。パフォーマンスの低下(サーマルスロットリング)はもちろん、最悪の場合、低温やけどなどのリスクもゼロではないことを念頭に置く必要があります。
③ カメラ性能の限界|シングルレンズで妥協すべきこと
iPhone Airの美しいデザインを際立たせている要因の一つが、すっきりとした背面の「シングルレンズカメラ」です。しかし、そのシンプルさと引き換えに、カメラ性能には明確な限界が存在します。
望遠とマクロが撮れない
iPhone Airのカメラでできないこと、それは主に「光学的ズーム(望遠撮影)」と「マクロ撮影」です。 遠くの被写体を画質を落とさずに大きく写す望遠撮影は、運動会や発表会でのお子さんの撮影、スポーツ観戦、風景写真など、様々な場面で活躍します。デジタルズームである程度拡大することは可能ですが、画質は著しく劣化してしまいます。
また、被写体に数センチまで寄って撮影できるマクロ撮影機能もありません。花や昆虫、料理の細部などを印象的に撮りたい場合には、物足りなさを感じるでしょう。
Proモデルとの圧倒的な差
iPhone 17 Proモデルは、広角・超広角・望遠のトリプルレンズ構成に加え、LiDARスキャナを搭載し、暗所での撮影性能やポートレートモードの精度も格段に向上しています。動画撮影においても、プロ向けのProResフォーマットや空間ビデオ撮影など、Airにはない機能が満載です。
「スマホのカメラは記録用」と割り切れるユーザーであればシングルレンズでも十分かもしれませんが、少しでも写真や動画にこだわりたいのであれば、Airのカメラ性能は明確な「ダメな点」として映るはずです。日常のふとした瞬間を、より美しく、より多彩な表現で残したいと考えるなら、Proモデルを検討する方が賢明な判断と言えるでしょう。
④ 薄さと軽さの代償|バッテリー持続時間への不安
iPhone Airの最大の魅力は、その名の通り「空気」のような薄さと軽さです。しかし、この薄型化は、物理的な制約として「バッテリー容量」の減少に直結します。
Appleは省電力性能に優れたチップやディスプレイを採用することで、バッテリー駆動時間の維持に努めていますが、物理的な容量の壁を超えることはできません。歴代iPhoneを見ても、薄型軽量モデルは、標準モデルやPro Maxモデルと比較してバッテリー駆動時間が短い傾向にあります。
まだ公式なテスト結果は出ていませんが、iPhone 17(無印)やProモデルと比較して、iPhone Airのバッテリー持続時間が短くなることはほぼ確実と見てよいでしょう。外出先で一日中安心して使いたい、モバイルバッテリーを持ち歩きたくない、というユーザーにとって、この点は大きな不安要素となります。特に、動画視聴やゲーム、テザリングなどを多用するヘビーユーザーは、夕方にはバッテリー残量を気にしながら使うことになるかもしれません。
⑤ 悩ましい価格設定|機能に見合わない割高感
iPhone Airは、決して安価なモデルではありません。むしろ、その価格はiPhone 17(無印)よりも高く設定されています。しかし、これまで見てきたように、スピーカーはモノラル、カメラはシングルレンズ、そしてバッテリーにも懸念があります。
ユーザーが抱く「この価格を出すなら、なぜ機能が劣っているのか」という不満は、至極もっともな意見です。デザインや薄さ・軽さにどれだけの価値を見出すかにもよりますが、コストパフォーマンスという観点で見ると、iPhone Airが割高に感じられるのは否めません。
同程度の価格帯であれば、より多機能でバランスの取れたiPhone 17(無印)や、少し予算を足してカメラ性能が飛躍的に向上するiPhone 17 Proも視野に入ってきます。この絶妙な価格設定が、多くの購入検討者を悩ませる大きな要因となっています。
⑥ ProMotion非対応?|ディスプレイの隠れた妥協点
現時点では確定情報ではありませんが、iPhone Airのディスプレイは、Proモデルに搭載されている「ProMotionテクノロジー(最大120Hzの可変リフレッシュレート)」に非対応である可能性が高いと噂されています。
リフレッシュレートとは、1秒間に画面が何回更新されるかを示す数値です。120HzのProMotionディスプレイは、標準的な60Hzのディスプレイに比べて2倍滑らかに表示されます。これにより、画面のスクロールやアニメーションが非常になめらかになり、一度体験すると元には戻れないと感じるユーザーも少なくありません。
もしiPhone Airが60Hzのディスプレイを採用している場合、日常的なWebサイトの閲覧やSNSのスクロールといった操作で、Proモデルとの「格差」を感じることになります。特に、これまでProモデルを使用してきたユーザーがAirに乗り換える場合は、画面の動きにカクつきを感じてしまう可能性があります。これもまた、価格に見合わない妥協点として挙げられるでしょう。
⑦ 根強い人気の裏返し?在庫が残るという事実
皮肉なことに、iPhone Airの現状を物語っているのが「在庫状況」です。発表直後は、その斬新なデザインから注文が殺到し、大きな話題となりました。しかし、今回解説してきたような数々の懸念点が明らかになるにつれて、人気は急速に失速。
現在、Apple Storeや大手通販サイトでは、iPhone 17 Proや17(無印)が早々に在庫切れとなる中で、iPhone Airだけが「在庫あり」のまま残ってしまっている状況が確認されています。これは、多くの消費者が冷静に製品を見極め、購入を躊躇していることの何よりの証拠と言えるでしょう。あれだけ注目されていたモデルが、今や「いつでも買えるモデル」となってしまっているのです。
⑧ 他モデルとの比較で見える中途半端さ
iPhone Airの立ち位置を難しくしているのが、その「中途半端さ」です。
- 性能やコスパを求めるなら → より安価でバランスの取れたiPhone 17(無印)
- 最高のカメラやディスプレイを求めるなら → iPhone 17 Pro / Pro Max
このように、明確な目的を持つユーザーにとって、iPhone Airは選びにくい選択肢となっています。「デザインは最高だが、それ以外の要素が他のモデルに見劣りする」。このジレンマが、iPhone Airを悩ましい存在にしているのです。
それでもiPhone Airは魅力的なのか?他モデルと徹底比較
ここまでiPhone Airのネガティブな側面に焦点を当ててきましたが、もちろん魅力的な点が一切ないわけではありません。むしろ、特定のユーザーにとっては、これ以上ないほど魅力的な選択肢となり得ます。
ここでは、改めてiPhone Airの持つ独自の魅力に触れるとともに、他のiPhone 17シリーズと比較して、どのような人がiPhone Airに向いているのかを深掘りしていきます。

引用 : Apple HP
iPhone Airの最大の武器|圧倒的なデザインと携帯性
iPhone Airの存在価値は、その唯一無二の「デザイン」と「携帯性」に集約されると言っても過言ではありません。
まるで芸術品のような薄さと軽さ
これまでのどのiPhoneとも一線を画す、驚異的な薄さと軽さ。チタン素材が放つ上品な質感と、ミニマルを極めたシングルレンズのデザインは、まるで一つの芸術品のようです。スマートフォンを単なる通信機器としてではなく、自分のスタイルを表現するファッションアイテムの一部として捉えるユーザーにとって、このデザインは他の何にも代えがたい魅力となるでしょう。
毎日手に持つものだからこそ、その触り心地や見た目の美しさにこだわりたい。そんな感性を持つ人々の所有欲を、iPhone Airは満たしてくれます。
携帯性は正義
ポケットや小さなバッグに入れてもかさばらず、長時間持っていても疲れにくい。この圧倒的な携帯性は、日々の生活の質を確実に向上させます。特に、荷物を極力減らしたいミニマリストや、アクティブに活動するユーザーにとって、この軽さは大きなメリットです。重いスマートフォンを持ち歩くストレスから解放される体験は、想像以上に快適なものです。
iPhone 17シリーズ スペック比較表
ここで一度、iPhone 17シリーズ全体のスペックを比較してみましょう。ご自身の使い方と照らし合わせながら、どのモデルが最適かを見極める参考にしてください。
機能/モデル | iPhone Air | iPhone 17 | iPhone 17 Pro | iPhone 17 Pro Max |
---|---|---|---|---|
ディスプレイサイズ | 6.1インチ | 6.1インチ | 6.1インチ | 6.7インチ |
ディスプレイ技術 | Super Retina XDR (60Hz?) | Super Retina XDR (60Hz) | Super Retina XDR (ProMotion) | Super Retina XDR (ProMotion) |
プロセッサ | A19 Pro | A18 | A19 Pro | A19 Pro |
背面カメラ | 広角 (シングル) | 広角 / 超広角 (デュアル) | 広角 / 超広角 / 望遠 (トリプル) | 広角 / 超広角 / 高倍率望遠 (トリプル) |
スピーカー | モノラル | ステレオ | ステレオ | ステレオ |
筐体素材 | チタン | アルミニウム | チタン | チタン |
バッテリー | △ (標準) | 〇 (標準) | 〇 (大容量) | ◎ (超大容量) |
価格 | 〇 (比較的高価) | ◎ (最も安価) | △ (高価) | × (最も高価) |
特徴 | 圧倒的な薄さ・軽さ・デザイン | コスパと性能のバランス | 最高峰のカメラ・ディスプレイ | 全てが最上位のフラッグシップ |
iPhone Airは「買い」か?タイプ別診断
上記の比較を踏まえ、あなたがiPhone Airを選ぶべきか、それとも他のモデルを選ぶべきかを診断します。
iPhone Airがおすすめな人
- デザイン至上主義の人:性能よりも、まず見た目の美しさ、所有する喜びを最優先する。
- 携帯性を重視する人:とにかく軽くて薄いスマートフォンを求めている。
- ライトユーザー:ゲームや動画視聴はあまりせず、SNSやWeb閲覧が中心。本体スピーカーもほとんど使わない。
- 最新の性能を体験したいがProは不要な人:A19 Proチップの処理性能は欲しいが、Proモデルのカメラはオーバースペックだと感じる。
iPhone 17(無印)がおすすめな人
- コストパフォーマンスを重視する人:最もバランスが取れており、価格を抑えつつ最新のiPhone体験を手に入れたい。
- エンタメを気軽に楽しみたい人:ステレオスピーカーやデュアルカメラなど、日常使いで満足できる機能が揃っている。
- 堅実な選択をしたい人:冒険せず、多くの人にとっての「正解」を選びたい。
iPhone 17 Pro / Pro Maxがおすすめな人
- カメラ性能にこだわる人:写真や動画撮影が趣味で、最高の画質を求めている。
- 最高の体験を求める人:ProMotionディスプレイの滑らかさや、最高のパフォーマンスを常に享受したい。
- ヘビーユーザー:バッテリー残量を気にせず、一日中スマートフォンを使い倒したい。(特にPro Max)
評論家が語る「ダメな点」との向き合い方
ガジェット評論家としての私の見解を述べさせていただきますと、Appleはスペック表の数字だけでは測れない「体験の質」を非常に重視する企業です。

引用 : Apple HP
モノラルスピーカーは本当に「最悪」か?
iPhone 16 SEの例を出すまでもなく、Appleはスペック上の不利を、巧みなソフトウェア処理や音響設計でカバーしてくることが多々あります。確かに物理的なステレオとの差は埋められませんが、これまでのモノラルスピーカーとは一線を画す、クリアでパワフルなサウンドに仕上げてくる可能性は十分に考えられます。実際に聴いてみたら「思ったより悪くない」と感じるかもしれません。過度な心配はせず、まずは実機のレビューを待つのが賢明です。
発熱問題は制御可能か?
発熱に関しても同様です。A19 Proチップは、電力効率も大幅に向上しているはずです。OSレベルでの巧みな電力制御により、高負荷な作業時以外は発熱を抑え、通常利用ではほとんど熱を感じさせないようにチューニングされている可能性があります。もちろん、限界はありますが、Appleが何の対策もせずに市場に投入するとは考えにくいです。これもまた、実機での検証結果を待つべきでしょう。
結局のところ、iPhone Airは「何かを尖らせるために、何かを大胆に切り捨てた」極めて挑戦的なモデルです。そのトレードオフを受け入れ、尖った部分にこそ価値を見出せるかどうかが、購入の分かれ道となります。
まとめ
今回は、大きな注目を集める一方で、数々の懸念点が指摘されているiPhone Airについて、その「ダメな点」を中心に徹底的に解説してきました。
iPhone Airが抱える主な懸念点:
- モノラルスピーカー:動画やゲームの体験を損なう可能性。
- 発熱の懸念:チタン素材と高性能チップの組み合わせ。
- カメラ性能の限界:望遠・マクロ撮影ができないシングルレンズ。
- バッテリーへの不安:薄型化による物理的な容量の制約。
- 割高な価格設定:機能と価格のアンバランス感。
これらの点は、iPhone Airを評価する上で無視できない明確なデメリットです。しかし、その一方で、芸術品のような圧倒的なデザインと、空気のように軽い携帯性は、他のどのモデルにもない強力な魅力を持っています。
最終的に、あなたがiPhone Airを選ぶべきかどうかは、スマートフォンに何を最も求めるかによります。
もしあなたが、機能やスペック、コストパフォーマンスを重視するならば、iPhone 17(無印)やiPhone 17 Proの方が、より満足度の高い選択となるでしょう。
しかし、もしあなたが、日々の生活を共にするパートナーとして、性能の数値以上に、その佇まいの美しさや、手に持った時の高揚感を大切にするのであれば、iPhone Airは唯一無二の最高の選択肢となり得ます。
急いで結論を出す必要はありません。ぜひ、これから出てくるであろう多くの実機レビューを参考にしながら、ご自身の価値観と照らし合わせ、後悔のない一台を選んでください。